☆本

□三題噺
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夜想曲が流れている。


ここはちょっと洒落た喫茶店だ。

そこで俺はロシアンティーを飲みながらある人の事を待っていた。


ある人っていうのは
今俺が好意を抱いている女性の事だ。



俺達は、そう歳もはなれてはいない
背丈だって俺の方が10cm以上は大きい




カランカラン



ああ、とうとうこの時が来たんだ…

俺は今からあの人に告白してくる。

今が頃合いだと思うんだ…。



彼女が欲しがってたカバンも買ってあげたし
彼女の為に車をよく出してあげたりもした
彼女とご飯を食べに行く事だってよくあった
俺が紳士という事も分かってくれている


悪い印象なんて
与えていないはずなんだ…
だから大丈夫


かならず成功してみせる
この告白を…


ああ、はやく彼女が欲しい。
彼女と一緒に
彼女と一緒に…




「遅くなってすいません…」


彼女の顔を改めて見て、思ったやっぱり彼女しかいないんだと
だから、俺は言ったんだ

「好きだ、俺はお前が欲しい」











沈黙が続く
















沈黙を破ったのは彼女だった
















「私、彼氏がいるの。そのごめんなさい…私はあなたとは仲の良い友人でいたかったわ」





ああ、なんて面白みのかけらすらない
完璧な断り方だ。















これは俺の振り返ってはいけない
振られた時の話だ…





恋ってのはこんなもんだってな―――

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