(ショタつなよしと、お姉さん)
「つーなー」
「なぁにー?」
「ちょっとおいでー」
「まって! …今行く!」
高校を卒業して、大学に入ってから一人暮らしを始めて、大学も卒業して社会人になってからもそれは続いていた。
一番初めは口うるさい親から離れられて嬉しかったけど、半年くらいたった頃から寂しくなり始めて。
でも実家から大学に通うのは難しいから、独りで頑張ってきた。
そしたら、出逢ったんだ。
綱吉と。
「はい、口開けてー」
「え? あー…」
不思議そうにしながらも、素直に大きく口を開けた綱吉がとてもかわいい。
「ちょっと熱いよー、大丈夫?」
「うん…ん、なぁにこれ? 甘い…」
「お砂糖をお湯でとかして煮詰めたもの。」
「なんでそんなの作ってるの?」
「りんご飴作ろうと思って。」
「りんご飴!」
お祭りで売ってるやつ!? と元気よく綱吉が食いついた。
瞳をキラキラと輝かせて、まるで猫や犬みたい。
「そ。この時期ならいちご飴でもいいよ。」
「いちご飴…!」
「りんごはあるから、あとでいちご買いに行こうね。」
「うん!」
にっこりと笑った綱吉の頭を撫でる。
同じシャンプーを使っているはずなのに、綱吉の髪は私よりいい匂いがするのはなぜだろう。
顔がニヤケていたのか、綱吉がどうしたの? と笑顔で顔をのぞきこんできた。
「なんでもないよ。あ、林檎取ってくれる? そこの切ってあるの。」
「はい。完成? 完成?」
「飴が固まったらね。綱吉、くぐらせるのやってみる?」
「やる!」
かわいい綱吉。無邪気な綱吉。
きみがいるから、私はもう寂しくないよ。
「あの、さ…」
「ん?」
「また来週のお休みも、こうやって一緒にいたい、なぁ…」
私は寂しくないから、君にもさみしい思いはさせないようにしたいのよ。
「…そうだね。じゃあ綱吉のためにいっぱいお仕事終わらせなきゃ。」
「…えへへ」
この子のために、私は頑張る。