LucianBee's

結婚しようよ
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白い花が舞う中で
皆の祝福に囲まれて
愛する君といつまでも一緒



結婚しようよ



やっぱり白がいいよね。薄いピンクもいいけれど、やはり清楚で純潔な白がいい。
しかし、君はきっと青が好きだろうから、会場を青い花で飾って、その花で花束を作ろうね。
と、僕が言ったら君は不思議そうな顔をしたね。

「なんの話だ」
「もちろん、結婚式だよ」
「誰の」
「もちろん、僕と君の」

君はものすごく驚いた顔をした。
そして、突然僕に殴りかかってきた。カッとすると、すぐに手が出る癖は治したんじゃなかったかい?でも、思わず癖を出してしまうくらい、僕に気を許しているってことだよね。嬉しいな。
僕は君の拳を華麗に避けて、君の手首を取った。白いけれども男らしい手首。僕の愛しい、君の手。あっという間に振り払われたけれど、うん、堪能は出来た。

「おつき合いが長くなったら……必然的に次は"結婚"。違うかい?」
「だ、誰がするか!」

普段、ステージに立つときも緊張一つしない君が、この結婚という人生の大舞台に怖じ気づいているのかな?
君らしくないね、と笑うと怒られた。
あぁ、そうだね。こんなに簡単に言うべきことじゃないね。君の都合もあるし、親の考えもあるからね。

「……それ以前の問題だろうが」
「どの以前の問題だい?」
「結婚なんてしない」
「するさ」
「しない!」

困ったことに君は強情なようだ。
口をへの字にして、頑固に僕の言葉に首を縦に振らない。それどころか、そっぽを向いたように僕から目も顔もそらす。
あぁ、悲しい。君の顔をゆっくりと眺めていられるのが、この二人きりの時間に僕に与えられた特権なのだというのに。
それが奪われたら、こうして二人でいるのも、皆でいるのも変わらないよ。

「したいんだよ……君とずっと一緒に居たいから」
「そんなことしなくても…」
「−−証が欲しいんだ!」

僕はとても弱いから。
君のように強くないから。
君とのつながりに証が欲しいんだ。
約束が欲しいんだ。

「強い君が羨ましいよ」
「俺が強い……?気のせいだろ」
「強いよ。僕と離れても平気な顔をしている。僕が他の人と話していても平気そうな顔をしている」

僕は弱い。
君と離れるのが怖い。君が他の人と話しているのを見るのが怖い。
これが、恐怖なのか、嫉妬なのか、被害妄想なのかはわからない。
でも時々、僕は君を好きすぎておかしくなるみたい。

「そんなもの……俺だって同じだ」
「……嘘だ」
「嘘じゃない。ただ、俺の方が少しだけ嘘をつくのが上手いんだ」

君の暗いブルーの瞳が僕を見る。
寂しげなブルー。儚いブルー。
やっぱり君にはブルーのドレスが似合うような気がしてきた。

「寂しくても、怖くても、憎らしくても、それは気のせいだと自分自身に嘘をつくんだ」
「自分自身にかい?」
「そうだ」

そうして自分の心を落ち着かせるのだと、君はそう言った。
そうでなければ、すごく嫌になるから。自分で自分を嫌いになってしまうから。

「いつも一緒に居られるわけじゃない。"一緒に居たい"なんて言ったら、お前に迷惑がかかる」
「…ジェシー」
「嘘つきだ。嘘ついて、自分を誤魔化して、納得させてる」


本当は、もっと一緒に居たいのに。
本当は、自分だけを見ていて欲しいのに。
本当は−−


「……結婚、してみたい」


絞り出すような君の声に、君の本気が伺える。君が本気なら、僕だってそれに本気で答えないと。

「うん。しよう」
「……出来るのか?」
「してみせるよ」

プリンセスを迎える王子のように、君の手を取って、その甲にキスを落とした。

「口……じゃないんだな。今日は」
「それは、本番に取っておこうかなって」
「……そう、か」

スマートな紳士を気取ってそう答える。
けれど、どこか不満気で残念そうな君を見ていたら、辛抱していた僕にも徐々に限界が。

「やっぱり……そこにもしていいかい?」
「……確かに弱いな、お前の意思は」
「君のおねだりが強すぎるんだよ」

結局、いつもみたいに甘いキスを、君の望む場所にした。


君を世界で一番幸せな花嫁にする。


そんな、誓いのキスをした。




end



レミジェシ。
書いている数は少ないのに、ラブ度は高いのが多い。それが当家におけるレミジェシクオリティーですww



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