LucianBee's

恋情悲哀葬送曲
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愛は全
愛は罪


恋情悲哀送曲



すだれ髪の間からずっと君を見てきた。
初めて会った時からずっと君を見てきた。

ただまっすぐに、
ただひたすらに、
曲げることなく、
一途に、

そしてやっと晴れた視界。
やっと晴れた、僕の心。
堕ちた猫は生まれ変わり、君の隣に立つことを許された。

はずなのに、

君の隣にいるのは僕ではない、誰か。
君がその人を見る。
笑う。
あぁ、ほらまた笑う。
その笑顔が愛しくて、愛しくて、




憎い



僕はあの頃の僕とは違う。
言いたいことも言えず、黙って立っていた頃の僕とは違う。
声に出せる、行動できる、愛することができる。独占することができる。

ほら、僕を見る君のその眼。
澄んだ瞳。
歪めてみたい。
僕への畏怖で染めてみたい。


お願いだから、僕だけを見て。

死んだはずの堕ちた猫が、僕の中で蘇る。
碧い嫉妬の炎を身にまとい。

僕の名前を呼んで。

もう他の誰も見ないで。

僕だけを愛して――





堕猫が笑う。
闇から手招きして、僕を呼ぶ。
あぁ、そうだ。
やはり僕は、闇の中から出られない。
光の幻想を見ていただけなんだ。


君に手を伸ばす。

僕は堕猫。
誰よりも罪深く、誰よりも愛深く、誰よりも嫉妬深い。

君に手を伸ばす。

僕は昔の僕とは違う。
声に出せる、行動できる、愛することができる。独占することができる。


ほら、君の白い首に手が届いた。


さようなら、こんにちは、僕の愛しい人。
これからはずっと一緒だね。
堕ちた世界で永遠に。



END




カトルはきっと一途。故なヤンデレ。
お相手は想像にお任せします。



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