LucianBee's

ジュエリー×ロワイヤル
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一歩も譲らぬ攻防戦
実力は拮抗
駄目さ加減は五十歩百歩


ジュエリー×ロワイヤル


突然、そいつは皿に盛られた金色の物体と共にやってきた。

「おい、巻き毛。それは…なんだ」
「ケーキ。特注品だよ」

俺の目の前に皿を置く。
だが、ケーキの姿など見えない。

「だから、これは」
「ジェシー。君は耳だけでなく、目まで悪くなったのかい?ショートケーキだよ」

そうは言われても皿の上に見えるのは、金色のもさっとした塊だ。
ショートケーキといえば白いクリームでコーティングされたアレだろう。あまりにも違いすぎる。
しかし、にこやかに微笑むレミィを見て、こいつの無類の派手好きを思い出した。
そして金色の塊を金箔に包まれたショートケーキと認識する。

「もうすぐ我が愛する弟、エミリオの誕生日なんだ」
「それで」
「このケーキをパーティーに出そうと思って」

食べて感想を聞かせておくれ。
そう言って、綺麗に磨かれた銀のフォークを寄越してくる。すこぶる嫌そうな顔をしてみるが、効果なし。
仕方なく、俺はフォークを手に取った。
金箔の一枚一枚がひらひらとわずかな風にそよぎ、ジャパンでいう「カツオブシ」のようになっている。
少量なら可愛いげもあるが、この金箔は大量にケーキに覆いかぶさっている。
感想などでるものか。
まず、食す気が起こらない。
とりあえず金箔を避けてみることに。
まず、金箔をつつく。
フォークの先でクリームと金箔が絡み合った所で、ようやくケーキの土台が見えた。
白くてフワフワなクリームが金箔包みの中に詰まっていた。
まぁ、これなら案外食えるのかもな。
そう思ってフォークをケーキに刺すと、なにやら嫌な感触がした。
硬い、
その下に本来ならありえないものがキラリと光るのが見えて、俺は迷わずフォークを置いた。

「おや?どうしたんだい」
「これは、なんだ」
「だからショートケー」
「正確に言え。これはなんだ」

もう一度、念を押すように言う。
レミィは巻き毛を揺らし、フッと息をもらす。そして女どもなら卒倒するであろう微笑みでにこう返した。

「--ルビーのショートケーキさ」

食えるか!
物理的に無理だ。不可能だ。
イチゴの代わりにルビーを置くな!
弟の歯が砕けちるぞ!

「お前…これは食に対する冒涜だぞ」
「そうなのかい?」

でもまぁ、金箔とルビーを退かせば食べられないこともないか。
フォークでルビーを落として、鞄から取り出したマイチョッパーをかける。

「……」
「なんだよ」
「君の方がよほど食を冒涜してないかい」

皿の上を見る。
鼻をつく激臭と共に、紫に染まったケーキがあった。
ショートケーキなど、見る影もない。
でも食べられるだけ、マシだと思うがな。


END



なんか、グダグダ。




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