キーンコーンカーンと帰りのHRの終わりを告げるチャイムがなった。生徒の大半は部活で教室からすぐにいなくなってしまった。誰もいなくなったからっぽの教室で私は一人黒板の掃除をしていた。誰かが掃除をサボったらしいからやれやれだ。
『先生が好きだよ』
ふと沢田くんのことを思い出して胸がチクっと痛んだ。保健室でのこと、夢だと思いたかった。今日だって何にも干渉してこなかったし…。
でも、あの寂しそうに笑う沢田くんが脳裏に焼き付いて離れない。
ただの生徒の一人なのに。
私はどうしてこんなににも心を掻き乱されるのだろう。
ガラッ
急にドアが開いて振り向けば金髪が目に入った。
「ディーノ先生…」
「よっ」
ガラッ、バタン
ドアが閉まる。ニコッと笑ってディーノ先生は私の隣に立ち黒板消しを手にとった。
「あ、そんないいですよ!!」
「いいっていいって!高いとこ、先生じゃ届かないだろ?」
「そ、そこまでチビじゃないです!!」
「あははっそりゃわりぃな!」
もう!、と笑ってしまった。
黒板消しを置いてチョークを手にとり、ちょうど背の高さをチョークで線を引いた。
「こんだけありますから!」
「えーなら俺は…」
ディーノ先生も同じように背の高さをチ
ョークで線を引いた。当たり前に大きくて私とはすごく差がある。
「俺の勝ちだなっ」
「し、仕方ないですよ!!」
「やりだしたのは先生のくせにー」
「それはそれです!!」
また黒板消しをとってその線を消そうとしたら手をつかまれた。
もちろん相手は一人しかいない。
「ディーノ先生?」
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