まりあ†ほりっく

□素直じゃないのはいつものこと
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今日は日曜日なので、授業はない。
でも、特にやることもやりたいことも思いつかなかった私はずっと部屋で1日を過ごすことにした。
ベッドに座り、携帯を片手に一息吐く。ここまでは、ここまでは良かったのに…!



「なんで鞠也に膝枕なんかぁぁぁ!!」

「うっせぇ黙れ」



さかのぼるは数十分前。
私がベッドに座り携帯をいじり始めた時に、ちょうど鞠也が部屋に戻って来た。茉莉花さんはその時一緒にいなくて、何でいないのかと理由を聞こうと思ったけど、まぁいっかと思い直し気にせず携帯を再びいじり始めた。
鞠也は椅子に座り、こちらを向いて「メールでもしてんのか?」と気だるそうに聞いてきた。私が「うん!愛しのみきたんにね!」と満面の笑顔で答えると「ふーん」とまたまた気だるそうな声が返ってきた。
そこで会話は途切れ、私の意識は再び携帯に向いた。
みきたんに送ったメールの返事が来た時には声をあげて喜び(たとえメールの内容が「しばらくメールしないで」だったとしても)、その場で足をばたつかせた。
―ああ、みきたんはほんと可愛いなぁ。あの天使みたいな笑顔を思い浮かべるだけでお姉ちゃんどうにかなっちゃいそう!!
とか色々思いながら悶えてると、急にずしっと太ももに重みを感じた。
え、何?と顔を下に向けると、そこには鞠也がいた。鞠也は、ごく当たり前のように私の太ももを枕にして目をつむっている。どのような体制かと言うと、耳掃除をしてもらう時のような体制です。はい。あ、話を戻して。
「何してんのよ!」と怒鳴ると、鞠也はちらと片目を開けて私を見た後、何事も無かったように再び目を閉じた。
言っても聞かないし、触ろうにも触れないしで、どうしようどうしようとなっている内に時が過ぎ……
そして、今に至る。




「ううう…退いてよぉ…」

「嫌だ」

「嫌なのはこっち!」

「うっせぇなぁ…黙れっつってんだろメス豚」

「ひどいっ!!」

「ふん」

「てゆうか何でいきなり膝枕なんか…」

「……お前が悪いんだ」



鞠也のその言葉に私は首を傾げた。

何で私のせいなわけ?
私、鞠也の気に触るようなことしたっけ?


いや、それはないはず。
だって鞠也がこの部屋に戻って来た時から私は少ししか鞠也と会話してないんだから。
だから、機嫌を損ねるような発言は今日はいっさいしてません。絶対に。


だったら鞠也は何で怒ってる?
…ん?いやでも、怒ってていきなり膝枕してもらうとかおかしいよね?
……???




「今日の鞠也は一段と謎だなぁ…」

「あ"?」

「いえ何でも」

「………」

「……ねぇ、私が何をしてこんなことになったのか教えて欲しいんだけど」



苦笑しながら言うと、鞠也は横目でギロリとこちらを睨み、そして言った。


「教えねえ。自分で考えろ」

「えー!!」

「あー、もうそろそろお前の持ち物も管理しようかなー」

「え?」

「持っていいものと持ってはいけないもので分けるんだよ、俺が」

「また勝手なことを…」

「携帯は持ってはいけないものに入るな」

「はぁ?!……ん?」



ここでハッとなる。
なんだか、分かって来たかも…。



「俺よりも優先される携帯なんて必要ねえ」

「……」

「器物なんぞに、負けてたまるか」



なんとなく、この行動に移した鞠也の気持ちがわかった。
もしかしたら私の勘違いかもしれないけど、でも、もしそれであってたら少し…嬉しいな。


私はドキドキしながら思い切って鞠也に聞いてみた。



「あのさ、鞠也」

「……」

「もしかして…携帯にヤキモチ妬いた…とか?」

「………」
















「んな訳あるか」

「えーーーっ!!?」

「うるせぇんだよ」

「さっきのはヤキモチ妬いたっていう流れでしょう!?」

「知るか。なんで俺がヤキモチなんか妬かねぇといけねぇんだよ」

「……あれ?」

「俺がヤキモチなんて妬くわけ…」

「…アハッ」




私は思わず吹き出してしまった。
…だって、そう言ってる鞠也の耳が柄にもなく真っ赤になっていたから。
やっぱり、かまって欲しかったのかな?




「何笑ってんだよ」

「ごめんごめん」

「罰として、もう少しこのままな」

「はいはい…」












(意外と寂しがりやなんだね、鞠也って)
(黙れ家畜)

―end―



→あとがき&お礼

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