短
□カラメル
1ページ/4ページ
『いやー!!私のプリンがぁっっ!!!』
双児宮、冷蔵庫の前でカノンの彼女であるにとりの絶叫が響いた。
そこに何事かとサガが駆け付ける。
「そんな大きな声を出してどうしたと言うのだにとり。」
『サガー!私のプリンが無いのっ!!』
「…。」
にとりは怒り心頭だったが、サガにとっては正直言うとプリンごときでそんなに大騒ぎする事か?レベルの問題だった。
しかし甘いモノ大好きな乙女にとっては一大事。
『食後に食べようって思って朝から楽しみにしてたのにー!』
八つ当たりしてバンバンと冷蔵庫を叩きながら喚くにとり。
「にとり辞めろっ、冷蔵庫が壊れる!プリンなら私が明日買ってきてやろう。」
にとりは動きをピタッと止めサガを見上げて睨みつける。
『やだ。今食べたいの。ていう私のプリン食べたのサガ?』
「ちっ、違う、私ではない!」
にとりに睨まれても全く怖くなど無かったが(むしろ可愛い)普段は滅多に見せない怒りの表情にサガは少し戸惑う。
自分では手に負えないと判断し、愚弟を呼ぶ事にした。それに双児宮に住んでいるのはサガ、カノン、にとりの三人。プリンを食べた真犯人はカノンなのだから。
「何だよサガ。」
「後は任せた。」
さそくさとその場を離れた兄を怪しみつつ、足元でうずくまって泣いているにとりが視界に入る。
「おわっ!ビックリした…。こんな所で何やってんだよにとり…。つか何で泣いてんだ?まさかあの馬鹿兄貴に何かされたのかっ!?」
『カノン…プリン食べたでしょ?』
は?プリン?一瞬固まるカノン。
しかし記憶を辿り思い出した。そういえば夕方、執務を終えて宮に帰ってきた時にプリンを食べた事を思い出す。
「あぁ、食ったけど?」
『ふあぁぁ〜』
声にならない声でポロポロと涙を流すにとり。