短
□COTTON☆CANDY
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『ゴホッ、ゴホッ!…あぁ〜ダルぃ…。』
ミロの彼女であるにとりは風邪の為、天蠍宮の寝室で寝込んでいた。
ピピピッ
体温計を見てみると…
『うわっ、38度7分!?計らなきゃ良かった。余計に具合悪くなった気分。』
熱に侵されボーっとした頭でも愛しいミロの姿が浮かんでくる。いや、身体が病んでいるからこそいつもよりもミロが恋しくなってしまう。
今朝、具合が悪いにとりを見て彼は仕事を休んでくれるといった。しかしにとりは黄金聖闘士としての彼の立場を理解しているし、迷惑を掛けたくないと言い断った。なのに
『ミロ…』
口からはつい愛しい人の名前が出てしまう。
『寂しいよ、ミロ。早く帰ってきてくれないかな…。』
とは言ってもまだ昼を過ぎた頃。ミロが帰ってくる夜まではまだまだ時間が有る。にとりはとにかく寝る事にした。
にとりがうとうとし始めた頃、蠍座の黄金聖衣を纏い、蒼い髪を持つその人は天蠍宮の入口までやって来ていた。
ミロが寝室に来てみるとにとりは少し息苦しそうに寝息を立てて眠りについていた。彼女の頬にそっと触れると熱い体温が伝わってきた。
「冷さなきゃな。」
ミロは氷嚢(ひょうのう)を額に乗せてやると愛しい彼女の手を握り、傍らでそっと見守った。
それから数時間後。
喉の渇きで目を醒ましたにとりは突っ伏して寝ているミロの姿に驚いた。
『ミロっ…?何してるのっ!?』
「んっ…?」
その声にいつの間にか熟睡してしまっていたミロも目を醒ました。
「いつから居たの?仕事はっ!?サボっちゃ駄目でしょ…。」
勢いよく起き上がったにとりの肩を掴み優しく寝かせ直しながらミロは言った。
「にとりが心配だったから…サガに頼んで早く帰して貰ったんだよ。」
『ミロ…。』
自分の為に仕事を早引きしてくれたミロ。更に横に転がっている氷嚢を見てミロがしてくれたんだと悟り嬉しくてにとりは彼に抱き付こうとした、が…