裏
□獅子ロック
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ギリシアの夏は暑い
その暑さ対策の為、祭やイベントが大好きなアテナこと沙織は納涼祭を計画していた。
夜なら涼しいし【祭】と付けば皆のテンションが上がると考えていた。
「てゐちゃん、今夜は納涼祭を開こうと思ってるの。まだ誰にも言ってないんだけど。」
沙織の友達で、今は聖域に遊びで滞在しているてゐに話し掛けた。
『本当!?私お祭りとか大好きー!皆も喜ぶと思うよ!屋台とか呼ぶの?』
「ええ、金魚掬いや射的、ヨ―ヨ―釣り、食べ物なら焼そば、イカ焼き、かき氷、リンゴ飴…等、定番のモノは全て準備が整ってるわ。」
『さすが沙織!』
「そこでてゐちゃん、お願いが…」
『なに?どうしたの?』
これを…と言って沙織は紙袋を差し出した。 中身を見てみると白地にピンクの薔薇の模様が入った浴衣一式が入っている。
『わぁーすごい!』
てゐは浴衣を取り出して広げてみた。
鮮やかで滑らかな生地。そして襟元にはレースが縁取ってあり帯にもレ―スが付いていた。
『最近の浴衣って凄いね!和洋折衷のドレスみたい…。でも可愛い!』
「それをてゐちゃんに着てもらって納涼祭に参加してほしいの。」
『うん、良いよぉ!お願いってこの事?』
「ええ。」
『なんだぁ、改まって言うから重要な事だと思ったよ。』
「そうなんだけど…。でも浴衣って…」
苦笑いする沙織の意図を読み取ったてゐもあはは―、と力無く笑った。
『浴衣って着てる方は疲れるし暑いもんね。』
「そうなのよね…。」
『でも大丈夫、着るよ。浴衣って雰囲気も出るし祭って感じするし。それに、何より可愛い沙織のお願いだからね。』
「ありがとうてゐちゃん。」
『ねぇねぇ、そういうばせっかく浴衣着るのにこれで良いの?外国の人ばっかりだからこう…日本っぽいのが良いんじゃないのかな?」