双狐小咄

□勝負は厳しく、助手には甘く
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その様子に、雷堂が面白くなさそうな顔を向けた。
「ならば、今覚えれば良いではないか。貴様ならすぐに上達するだろう。なにせ、十四代目葛葉ライドウを継ぐ者なのだからな」
「貴方はライドウの名をなんだと思っているんですか……」
麻雀の腕云々の為に語られる名、というのもどうか。思わず真顔で突っ込むライドウに、しかし雷堂も退かない。
「よもや、負けるのが怖いなどとは言うまいな。十四代目葛葉ライドウ」
「…………」
ヒホー?と間の抜けた声を上げて顔を見合わせるフロストとランタン。やれやれと肩を竦めて酒を煽るナルミ。ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて瞳を細める雷堂。
「……良いでしょう。その勝負、受けて立ちますよ」
負けず嫌いの血がそう言わせた。鳴海を相手に負けず嫌いを発揮して、大抵は酷い目に遭っていたことを思い出したのは言った後。
雷堂の笑みが一際恐ろしく見えたのは、ライドウの気のせいだろうか。
「よし……ならばまずは基本だ」
ライドウが見易いように椅子をずらし、いくつか牌を選んで並べる雷堂の手元を、雀卓に手をついて覗き込む。
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