双狐小咄

□勝負は厳しく、助手には甘く
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居間のドアに近付くにつれ、人の声が大きく聞こえた。人ならざる者の声もする、これはジャックフロストとランタンだろうか。
麻雀だろうな、とライドウは小さく呟き、静かにドアを押し開けた。
その途端、楽しげな声が更に大きくなる。
「やはり麻雀でしたか」
部屋の中から漏れ出た灯りと同時に注がれる四人の眼差しに、ライドウはほんの少し口元を緩めて言った。
「おー、ライちゃんもやる?ちょうど今半荘終わったトコなんだよね」
赤い顔をしたナルミが、ぱたぱたと右手を振って手招きする。その左手には透明な液体の入ったガラスのコップ。
元いた世界の鳴海はそう簡単に酒で赤くなることは無かったが、こちらのナルミはどうなのだろう。もう、かなりの量を飲んでいるのだろうか。
「いえ……俺、麻雀はやったことが無いんです。ここで観戦させて頂きますよ」
やんわりと断り、雀卓から数歩離れた場所に立って腕を組む。
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