短編

□ホワイトデー
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今日は、モテる男の子にとったら大忙しの日。

バレンタインに貰ったチョコのお返しをしなければならない日。

馨の周りにいる男の子達も、何やら大量にお返しのお菓子を購入していた。

『うわ〜…相変わらず、すごい量ね…幸村』

「食べてはなりませぬぞ…姉上」

『やっ…やあね〜、食べないわよ』

オホホホと笑いながら、冷蔵庫を開けて、コップに牛乳を注ぐ。
そして、それを一気に飲む。

『そういや〜、今日はホワイトデーなのよね〜…』

「………何故、そんなにテンションが下がっておられるので御座るか?」

幸村の顔を見るなり、また深いため息をはぁ〜とつく。

「人の顔を見る度に、ため息をつくのは止めていただけぬかι?」

『だって〜…バレンタインみたいに貰う側じゃなくて、あげる側になるんでしょ?食べれない〜』

「……仕方ないで御座るな…」

幸村は、別に置いといた可愛いくラッピングされたものを馨に渡す。

『えっ?』

「バレンタイン…くれたで御座ろう?そのお返しで御座る」

『幸…』

目をうるうるとさせ、ガバッと幸村を抱きしめる。

「幸村〜!!アンタってなんていい子なのっ!!」

「くっ…くるし〜…」

『ああ、ごめんごめん』

幸村からパッと離れる。

「姉上…ずっとお聞きしたかったので御座いますが…」

『なに?』

「その手に持っておられる紙袋は何で御座るか?」

馨は幸村の言葉にビクッとなる。
その話題は、馨にとって、決して触れてほしくない話題なのであった。

『ユッキーには関係ないあるよ?』

「某の呼び方が変わっておるし、中国語になっておるし、明らかに動揺していることが分かりますぞ…姉上」

『………』

幸村にものの見事に見抜かれ、(誰でも見抜けるのだが)馨は黙りこみ、紙袋を抱きかかえる。

「姉上…まさかホワイトデー…」

『そうよ!!政宗の美味なトリュフをいただいたからそのお返しよ!!おかげさまで、私の欲しいものが買えなくなったわ!!』

「いや…そのように怒鳴られても…」

17年、姉と共に過ごしてきたが、今でも姉のことを上手く対応することが出来ない幸村であった。

『うあっ?!やばっ!!早く学校に行かないと遅刻しちゃうっ!!』

「あっ!!もうこのような時間にっ!!」

『幸のせいだかんね!』

「某で御座るかっ?!」

そして、慌てて学校へ向かう二人であった。
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