短編

□逃亡
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『私の方がすごいもんねっ!!』

「某とて、負けてはおりませぬ!!」

ぐぬぬ〜とお互いに、にらめっこをするお2人さん。
もういい加減にして。
いや、頼むから。

『まだまだいくわよ!!』

「某も諦めませぬ!!」

うん、いつも以上の真剣勝負をしてるね。
まぁ…無理もないか。
今日の勝負はいつもと違うしね…。

『おばちゃん!!おかわり!!』

「某もいただきます!!」

「……はぁ…」

馨ちゃんと旦那の前に置いてある皿の枚数を見れば見るほどため息が出るよ。

『負けないんだから〜!!』

「某も武士として負けてはおれぬ〜!!」

いや、この勝負は多分武士道とは関係ないと思うから。

あっ、この茶は美味しいな。

って…俺様、忍なのにこんなとこで堂々と茶を飲んでるし。

でも、今ここを離れたらこの2人が後でうるさそうだしね〜…。

あっ、読者の皆様にも分かるように説明しちゃうと…いつもは、雑巾がけどちらが早く拭けるかとか、どちらが多く薪を拾えるか…とか俺様の日常生活に助かる真剣勝負をしてくれて助かってたんだけど…。

今日の勝負は、団子大食い対決。

むしろ生活に響きますって。
アンタら…そんだけ食ってるけど、お金は大丈夫なの?
一応、おばちゃんに聞いてみるか。

「おばちゃん、今でお勘定はいくら?」

「3両だねぇ…」

「…3両?!文じゃなくて両?!」

えっ?!なにっ?!旦那たちそんだけ食っちゃってるのっ?!

「馨ちゃん、旦那!それぐらいにしたら?ちょっとお金の金額がすごいことになってるよ!!」

『だい〜じょ〜ぶ!!前に奥州からぬす……………稼いできた5両があるから〜っ!!』

…………今さ…盗むって言いかけてなかった?
しかも5両なんてどう頑張っても稼ぐのは難しいでしょ。

『ぷは〜っ!!もうダメ!!私の負けっ!!これ以上はもう食べられなぁい…』

「某の勝ちで御座りますな!!」

えっと…何皿食べたの?
ひぃ…ふぅ…みぃ…

………1人20皿は、いってるよね?
えっ?!1皿に団子が2個あるのにそれを更に20皿食べちゃうって…旦那達、団子を40本食べたことになるんじゃない?!

この人達…一体どんな胃をしてんのさ。

『おばちゃん!!団子おいしかった!!お勘定、ここに置いとくね〜!!』

「あいよ、毎度!!」
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