短編
□暗闇の中の光
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馨は全国各地を回りながら商売をしている。
武器、防具、遊び道具、食べ物、着物…何でも売ってる。
馨は、今日も商売をするため奥州へと訪れたのであった。
『いらっしゃーい♪全国各地から色々集めては売ってる商売人の馨ちゃんが来たよ〜♪』
馨がそう声をかければ、町の人がみんな馨のもとへ寄ってきた。
「馨お姉ちゃん!!何か、面白い玩具ある?」
子供がウキウキした顔で馨に聞きにきた。
『ん?そうだなぁ〜…あっ!!ほら!!お姉ちゃん作、竹トンボがあるよ!!ほら!!』
「竹トンボ…?どうやって遊ぶの?」
『こうやって両手で竹トンボをクルクル回して…勢いつけて飛ばすと…』
そう言って竹トンボを飛ばせば竹トンボはクルクルと回転しながら、飛んでいった。
「わあっ!!すごいっ!!すごいよっ!!」
『ほしい?』
「うん!!あっ…でも、お金がないからやっぱりいい…」
馨は、シュンと悲しくなった子供の頭にポンっと頭を置き優しく微笑んだ。
『いらないよ。君のその笑顔が、今日の支払いって事にしてあげるよ』
「本当っ?!ありがとっ!!」
そう言って子供はニカニカしながら、竹トンボを受けとり、去っていった。
『またのお越しを〜!!』
「相変わらず、誰に対しても優しいんだな…………俺以外にはな」
嫌な声がした!!と思い、恐る恐る後ろに振り返ってみれば、そこには奥州の主…独眼竜、伊達政宗が立っていた。
『げっ!!』
「げっとは何だ、げっとは」
『嫌なやつがきた〜!!』
「馨様、申し訳ございません。政務がありますので街に出てはいけませんとお止めしたのですが…」
『片倉さ〜ん…!!あともうちょっと引き止めてくれればこの街を去ることが出来たのにぃ〜!!』
そう言って、まるでお父さんに甘えているかのように小十郎の腕の中で泣いていた。
「No、Honey…抱きつく相手を間違えてるぜ?」
『変態に抱きつきたくありません』
小十郎の腕の中から顔を覗きこんであっかんべーと政宗にした。
「Ha!!素直じゃねぇな」
『いや、私はめちゃくちゃ素直です!!』
政宗は、一歩…また一歩と馨に近付いてくる。
「小十郎、馨から離れろ」
「…………離れたいのは山々なのですが…馨様の方が離れてくれません」
『ぬおお〜!!小十郎、私を見捨てるか?!』