短編

□吸血鬼
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ジュル…

ドサッ

ああ、まだ足りない…。
でも、人間は殺せない。だって私は、人間が大好きだから――。













******

「かーのじょ♪」

『……』

「かわいいね〜♪今から遊びに行かない?」

『……今、俺に近づかないほうがいいぜ』

「「?」」

馨は、冷たくそう言い放つ。
そして、男二人から去っていく。

『(くそっ…血が…血が足りない…)』

「馨殿?」

苦しんでいると、聞き覚えのある声が、かかってきた。

『真田、か』

クラスメートの、真田幸村だった。

「やはり馨殿!!如何なされた?!顔色が優れぬぞ!!」

『…気にするな。お前には関係ない』

「しかし、顔色が…」

「どうした?こんなとこでしゃがみこんじまってよ」


馨のもとにもう一人…伊達政宗が姿を現した。

「馨殿の様子が…顔色が優れない様子故、自宅までお送りした方がよろしいかと…」

「なるほど」

政宗はチラッと馨の方をみては、少し考えこむ。
そして、手をスッと差し出す。

「俺が送ってやる。真田、アンタ部活があんだろ?早く部活に行けよ」

「だが、馨殿が心配で…」

「Ah〜?俺が頼りねぇっていうのかよ?」

「お任せいたす!!政宗殿おおお!!」

幸村は政宗にそう言い残すと、猛ダッシュで学校へと向かっていった。
ダッシュをしなければ部活に遅れてしまうからであろう。

「Are you ok?」

『あっ…大丈夫…』

「……血、足りねえんじゃねぇのか?」

『なっ…何でそれをっ?!』

そう叫んで立ち上がろうとすると、フラッと立ちくらみをする。

倒れそうになっている馨をとっさに抱きかかえる政宗。

「大丈夫じゃなさそうだな…この調子だと」

『ごっ…ごめんなさい』

「謝るこたぁねぇよ」

『あっ…あと』

「ん?」

『おろしてくれると嬉しい…です』

「………」

今の馨は、お姫様抱っこをされている状態。
政宗と馨を見る通りすがりの人たちは、顔を真っ赤にさせたり、羨ましそうに見ながら通りすがる人たちが多数いた。

『まっ…政宗…』

「No、おろさねぇよ」

『えっ?!ちょっ…おろしてくれないと、私が困るんですけどっ!!』

「Ah?何が困るって言うんだ?」

『…恥ずかしすぎて死にそう…///』
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