長編小説

□花けら
1ページ/10ページ



「行ってきまーす!!」


朝家を出てく時に当たり前のように出てくる言葉だけど、今年からは返事は来ない。

1週間ぐらいたったから
大分土地勘にも慣れてきた
高校は親を踏みにじって私立の高校に入った。


義務教育じゃない
社会人でもない
社会に出るための基礎造りが出来る人生で一番大切な時期

だから
一人暮らしを初めてました!!


なんて独り言を語ってるのは、入学式の長い長い校長先生の話を少しでも覚えたくないからだよww





体育館の扉から桜が咲き誇る風景を見てて思った



――…綺麗だな




桜が入学式に見えるなんて夢のような設定だ!!



一人でウキウキしてる
ヤバー!学校生活楽しみだな!
友達100人出来るかも!!



「――ん?」



……ふ、と何処からか視線を感じた気がする。
なるべく目立たないように
辺りを監視する。


違う
…違う
あぁ、違うなぁ〜

気違いだと諦めて隣の列を見る
斜め前に居た俯く君を見て
心臓が跳ねた



ドキドキする
体温が上がり顔が赤くなるのも分かる
あぁ…これが世の中で言う
“一目惚れ”ってやつか


入学式新しい学校生活と共に
僕の初恋も始まりを告げた。














【1-A】
初めてのクラスに入る
凄い人だぁ;
なんか、むわぁってする…

僕は田舎育ちで生徒数も先生も少なくて、ここら辺で言うと保育園から中学校までエスカレーター式だった。

保育園から中学校までの全校生徒で約500人だった
クラスは22人しか居なかったし学年で44人。




なのにこのクラス全体が窮屈差を感じるほど人が溢れてる、男女合わせて40人のクラス。




――すっげぇ〜…。



こんなに同い年の子居たんだ!
学年一緒が500人もいるよ!!


席は男女混ぜて名前順。
僕は窓側の一番う・し・ろ♪
なっ…なんて眺めが良いんだw


見渡して居ると、あっ…
あの子だ…
始業式の時、凝視してしまった子。
同じクラスかぁ〜
嬉しいな((でへへ…



「何見てんの、格好良い人でも居たの流?」

「あ、ふゆやん。別にぃ〜」


ふゆやん事風は、僕が入試の時に定規を忘れて愕然としてた時、さりげなく定規を貸してくれた天使様。
それがきっかけで仲良くなった子だ。



「あんまりキョロキョロすると目立つよ。只でさえ君目立ってるんだから…自覚しなよ」

「へ?」



むむむっ?!
回りをよく見るとみんな僕を見て何か話してるでわないか?!

なんで?

朝のフリカケの海苔でも付いてるってガチで付いてたし!!






知らない男子が近づい来た…
たた怠慢か?!!



「君、男じゃないよね」

「えっ…うん、女だよ〜」

「すげぇ、スタイル良いねぇ」

「あ…ぇ?柔道と弓道してて」

「やべぇ、声いいよコイツ」

「へっ…どうも;」

「名前は?」




なな…なんなんだ?!!
男女問わずみんな集まって来たぞ!!ふうやんに助けを求めようとしたら、教室出てくのが見えた。

―――裏切り者ぉ(;Д;`)




適当に話してても、あの子を何処かで探して居た。
でも
どこかに消えていた。



「ちょっとジュース買って来るわ、ヨーグルペって購買にあるかな?」

「あるでぇ〜」
「行ってきいや」

「ん、あんがーとう♪」






一人暮らしで節約中だから買えないけどね…
上手く誤魔化せたかも。

取り合えずあの子を探そう
僕はあの子と話したい。










話したいのになぁ…


やっとの思いでみんなから離れて、図書館まできたのにここも外れかな?





『……っ!!』

「うにゅ?」



本棚の奥から声が聞こえた…
気になり行くと


あの子居た。




必死に本を取ろうとするが、ちょうど届かない場所にあるみたいだ。
これは、出番だ♪

ゆっくり近付き、取ろうとしていたのを取って渡す。



「はい、これでよかった?」

『………』

「ぇえ〜と、あれ…違った?」




何故か目の前の子の頭を優しく撫でていた、それが駄目なのかと思い手が止まる。

えぇ〜…超はずいんだけど…

渡した本を見ると、分厚く読むのに僕は一週間は掛かると思う本だった。



『……』

「…あのっ(何か喋ってよ〜!!間が持たないじゃん;)」

『これ、読んじゃ駄目だよ。』

「えっ?あ…」




それだけ言い、トコトコと本を借りてまたどこかに行ってしまった。
それが初めての会話。


その本は《ダレン・シャン》だった。







【HR】



「あぁ…暇、眠い最ぁ「煩い」

「ふうやんの毒ぜっ「黙れ」

「……あい」



入学式だったから初日は代々お決まりの自己紹介中。
正直名前と顔が一致しないから覚える気がしない←


前の席の人に拍手して
次は僕の番
適当に並べた自己紹介。
だけど
興味津々なみんな…田舎者がそんなに珍しいんですかね?


「流に質問あるやついるかぁ」


先生のお決まりの言葉。
さっき、質問攻めに合ったから無いと「はい!」まだあるのか…


「お!古屋、訊いてやれ!!」

「付き合ってる人は女ですか?男ですか?」



バカにしてるのかコイツ…
その質問にざわざわするクラスメイト。他人がどうでも良いんじゃないのかよ…



「どうなんだ?」

「付き合ってる人は15年間居ないですよ」



勿論作り笑顔で応えた
苛々してるのが分かったのか、ふうやんが苦笑いしてる
早く終わりたいオーラを出してるのに、
「意外だぁ〜」
「誑かしてそう」などと言う奴らがたくさんいた。





――…ため息もでない。





ふと視線を感じた。
見渡すと、あの子と目が合う。
すぐに離されたが
絶対見てた!!





あの子の番になった

名前はみずき そら、か…
みずきが苗字ってごちゃごちゃしそう…とか考えてたら質問タイムが切れて次の人になってた。


空ちゃんが席に戻る時にまた目が合った。
すぐに逸らされるけど…



そして、学校が終わり帰宅する事になった。
みんなに挨拶される。
みんなに挨拶をかえす。


暇つぶしに図書館に行った。

夕陽のオレンジ色に染まる一室
物静かな部屋に…


「空ちゃん…」



何故か居て、聞こえないように言ったのに振り向いた。
本棚の一番後ろ、一際目立たない場所に立っていた。


『………』


なぜか目を逸らさない。
どうしたのだろう。
近付くと、空ちゃんは本棚に目を向ける。
あぁ、そういう事か。


「はい、二巻。一巻もう読んだんだ。」

また、空ちゃんの頭を撫でる。

すると

『読み直してるの…好きなんだ。この本』

ゆっくりと僕に微笑みかけて話してくれた。

夕陽が逆光になり君を光らせる。
見とれてしまう。
か…可愛い//

『今日はありがとう。』

「あ、うん。暇つぶしにはなったよw」

『明日もお願いね。じゃね。』

「うん、待た明日ね………え?」




使われるの?



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ