長編小説

□暑い8月の蒼い海
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『…ぁあ、広いなー』



海が一望出来る屋上

その出入口付近にある天窓と風景を窓を通して見てるのは、色摩 こころ(しかま こころ)
絶景の癒しのスポットには色摩しか居なく、他の学生達は学食に行く姿がうっすら視界に捉えたぐらいだ。
陽炎の中には細かい虫が居て、立ち入り禁止なのも分かるぐらい屋上の床は老朽化進んでいた。




「…あ、またいた」

『ぅわ?!びっくりしたー…また来たの広夢ちゃん?』

「だってさー全く馴染めないもん」

『転校して来たばっかりだからでしょ、私よりも話しやすい人達たくさんいるよ〜』

「あーしは、こころさんがえぇんです。一緒にご飯食べよ?」




そういって私が設置したベンチの隣に座ったのは、1ヶ月前に転校してきた小鳥遊 広夢(たかなし ひろむ)ちゃん

…初めて会ったのも実はこの場所。














『海が荒れてる…凄い雨だなー』



学校生活が始まって約半年が過ぎた頃
大体女子同士はグループ化していて輪の中に入るのが怖くて
私は中間管理職化した。
男子は一年生のクセに部活で先輩方に気に入られた人達は、授業中も休み時間もとにかく調子こいててウザイ。
そして、チャラい。

勉強だけしてきた私にとって、刺激が強すぎて疲れる。
休み時間にとにかく人気がない所へと足を進めて行ったら屋上まで来てしまったが、本当に此所に来て良かったと思える光景が広がっていた。
踊り場は凄く汚かったけど
掃除が大好きな私にとって暇つぶしが出来て嬉しかった。

ある雨の日
いつもの場所に向かえば先客が居るみたいで、床がポツポツと濡れていた。
先客が此所にたどり着いたのは、何かの縁だと思う…



でもなー…はぁ、引き返そ。






「ッ!…ぃ、てぇー…」





・・・・?

明らかに女の子の声が階段に響く
コレはヤバい。
音を立てないように、そーと…そーと!





「…誰か居るんだろー」

『………』

「はぁ、もぉーやだぜぇ〜…」

『………』

「……ん、あんた誰だ?」





やっぱり見つかったー!!!
立ち止まって声がする方を見れば…

わぁ、きれ…、ぎゃ逆光で目焼いた!!
いたーい!!




「あんた、この学校の生徒さん?」

『はぁ…まあそうですけど』

「一年生?」

『ええ』

「D組?」

『B組ですね、Dはないんで』

「よかった…案内してくれない?」

『ヤです』

「即答!?…えぇやん。あーし血まみれなんですけど、このままやと教室着く前に逮捕されちゃう」

『血まみれ?!!』




階段を駆け上がって私の場所に行くと、左の脇腹に手を置いて見たことない制服を着てる女子が踞っていた。
私に気が付くとニコッと笑い眼を閉じた

…これって、まさか!?





『…ぱ、パトラ「違うから」

『チッ…なんだー』

「あんたって清楚な見た目よらず、意外に腹黒いな…」

『腹黒ドSはキャラは大好物なんで』

「……ついてけねー」

『じゃ、ここに行けば保健室だから。しかも二階では梅ちゃんっていう生徒指導の先生いるから』




じゃ!って逃げたけど、軽く捕まった。
本当に誰なの?!
貴重な昼休みを削りながらも傷だらけの女子を隣に付けて歩くと、やたら回りが騒ぐ…。

だよね!だよね!!

明らかに体育館裏で友情を深め合って来た人達みたいだけど、黒髪の方がやっぱり無敵に近くて喧嘩にも強い…。

ヤバい、かなり興奮して来た。

昼休みの先生しかいない保健室萌える!!






『――…ふぅー、着いたよ保健室』

「お、おう…ありがとう。」

『じゃ、私帰るから』

「…へ?なんで!?」

『名前を先に名乗らない奴には変人が多い、だからこそ僕が先に名乗ろう!』

「ぉう…声を小さめにな」

『うむ。僕の名は「色摩 こころ」だよ…って先生ひどーい!』

「…鼻血出てるよ」

『こりゃ失敬』




箱のティッシュが飛んできて華麗にキャッチすると、先生は資料を片手に血まみれの子を見た。
ほんの一瞬だけだけど
空気が凍り付いた気がした。

まさか私の妄想の所為か?!!





「あぁ〜…色摩さん」

『なんでしょう?』

「チャイムなってますえ」

『ヤバババ!先生ばいちゃ!あとー…誰だお前は?!!』

「ぷ、あはは///」


――…ぃっ!


「あーしは小鳥が遊び広い夢をみるって書いてな、たかなし ひろむって読みますえー」

「ほらほら、さっさと授業に行な」

『記憶したぜ!またな佐倉 広夢ちゃん』

「…ならまたねー」
























うぅ、また胸が痛くなってきた。

呑気に膝枕で寝てる広夢ちゃんを見て、初日を思い出すとズキズキするんだ。
腐女子は私的には、この学校で初めて出来た友達。

美味しい、美味しすぎるよこの話!!

帰って速攻で漫画描かなきゃ!














「(何か妄想してんな〜…。こころはん、相変わらず鼻息荒いな)」


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