∞手塚長編U∞

□5話
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ここに辿り着いて2日。
帰る手がかりは未だ何も掴めていないが、名無しについては少しずつ知ることができた。

俺はこの森を早く出たいような、出たくないような複雑な心境にあった。

桃「部長ダメっすよ〜、船なんか1隻も通りませんっ!」

夕刻、海岸の見張りに行っていた乾、桃城、越前チームが帰ってきた。

手「そうか…ご苦労だったな」
俺はそう言いながら、内心ホッとしていた。
(部長失格だな……)
皆の安全よりも、己の感情を優先してしまうなんて…


ドゴゴゴゴゴ…
夕べのように、森が凄まじい音を出した。
「…食え、魚だ」

彼女は水中で養成し、戻ってくると昨日の様に腕を振りかざし、俺たちの足元に魚を置いた。

菊「美味そうだにゃ〜!何て魚にゃんだろ〜」
河「残念ながら俺にも分からないよ、こんな魚、見たことない」
乾「タカさんでも知らないとは…この世界には未知なる生物がまだまだ溢れているようだ」
乾はそう言いながら、ノートがないのを残念そうにしていた。


昨日、今日で、湖の周りの木々が増えた。やはりこうやって命を目の当たりにすると、食べるのが申し訳なく感じる。
「どうした手塚、そんなにまじまじと見つめて…これでは足りないのか?」
手「そんなことはない、ただ、魚たちに申し訳なくなってな…」


俺も普段なら魚釣りを好んでする。だが、その釣られる魚たちの気持ちを、今初めて感じたような気がしてならない。

不「せっかく名無しが力を使ってくれたんだ、有り難く食べないとそれこそ申し訳ないよ、ね?手塚」
手「……あぁ、そうだな」

みんなで薪を集め、また名無しが火をつけてくれた。
越「昨日は余裕なかったっすけど、なんかキャンプファイヤーみたいっすね」
桃「そう考えたらちょっと楽しくなってきたなぁ」
「………そういえば、手塚以外の名前を聞いてなかったな」


魚が焼けるのを待つ間、皆それぞれ自己紹介をした。
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