∞手塚長編U∞

□2話
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とことん、異世界に迷い込んだような気持ちになった。
見知らぬ島。
神秘的な水の里。
そして目の前に居る、龍の少女…


俺はやはり、夢でも見ているのだろうか…



手「…君は…」
「!?」


俺が声をかけようとすると、彼女はキッと俺を睨み、また水の中に潜った。


手「ま、待ってくれ、君は誰なんだ!ここは何処だ、教えてくれっ!」


言葉が通じれば、俺たちが帰れる手がかりがつかめるかもしれない…


俺はその場を動かず、彼女が出てきてくれるのを待った。



チャポ…



すると彼女は鼻まで顔を出し、鋭い目つきで俺を睨んだ。


手「…………」

まるで、俺を観察しているかのようだ。


手「君は、…ここに住んでいるのか?」
「………貴様、何者だ」


日本語…それだけでひどく安心した。

手「俺は手塚国光という。船で海に居たが転覆し、仲間たちとここに流れ着いたんだ」

「………」


彼女はまた、俺を睨む。
俺を敵だとでも思っているのだろうか。
そもそも彼女こそ何者だというのか。腰から下のものが作り物でないのなら、人間ではないのか…


それとも、コレは本当に俺の夢なんだろうか…


「…私を捕らえに来たのか…?」
彼女は睨みつつも、怯えているような目つきをしている。

手「捕らえる?いや、俺は、俺たちは東京に帰りたいだけなんだ。ここが何処だか教えてくれないか?」

「…貴様ら、私を殺しに来たのだろう」


殺す…綺麗な顔立ちからは、とても残酷な言葉ばかりが飛び出てくる。

手「殺すつもりなど毛頭ない。俺たちはここが何処だかも分からないし、君が誰なのかも知らない。本当だ」


彼女はなかなか、心を開いてくれそうになかった。

「貴様らも、あいつらと同じだろう。武器は何処にある。それ以上近づいたら貴様が私を殺す前に、私が貴様を殺す」


あいつら……誰のことを言っているんだ

手「武器など持っていない」
「証拠はあるのか、私を殺さないという証拠が」


証拠…どうやって説明したらいいのだろうか

手「信じてほしい、俺たちは君に危害を加えたりしない」
「……その布を取れ!」


(布…?)
彼女はきっと、服のことを言っているのだろう。取れと言うのはつまり…


手「脱げということか?」
「そうだ」


空港で所持品検査に引っかかったような気持ちになった。



手「…分かった」
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