ホラー

□パラレル・デイズ
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yusuke.side

「おい、起きろ雄介! また遅刻するぞ!」
「もうちょい〜。あと1時間〜」
 言いながら雄介は何かしらの違和感を感じた。
 いつもどおり自分を起こそうと怒鳴る言葉。だが、その声は………。
 雄介は布団をバッととられた。そのとき、雄介の視界に入ったのは。
「お、俺!? はっ? えっ!? ちょっ……どうなってんの? あ、朝っぱらから変な変装すんじゃねーよ、母さん!」
 混乱している雄介に彼と同じ顔の人物はあきれたような表情に声で言った。
「なに寝ぼけてんだ。俺はお前の母さんじゃねーよ。お前の双子の弟の雄也だろうが。ほら、とっとと顔洗って飯食うぞ」
 雄也と名乗った人物は雄介の頭を思いっきりはたいて部屋を出て行った。
 雄介はしばらく呆然としていたが時計を見て寝坊したことに気づき大急ぎで準備をした。
「ほら、ちゃっちゃと食べてちゃっちゃと行かないと、遅刻するわよ」
 リビングに行くと母親が雄介に言った。と、テーブルには雄也がいて朝食を食べている。
 驚きはしたが、顔を洗ったおかげか目と頭が覚め、ここで騒ぐべきではないと考えた。雄介は適当に返事をして朝食を食べた。




 玄関で靴を履いて雄介は雄也と学校に出かけるためドアノブに手をかけた、と。
「いってきますくらい言わんか!」
 これはいままで聞いたことのない声。誰だ、と思いその声に振りかえるとそこにいたのは………。
「シャオ?」
 そこにいたのは、植木家の飼い猫のシャオだった。
 雄介が小学校の頃に捨てられていた子猫を拾ってそれから植木家に仲間入りしたのだ。
 雄介はかがんでシャオをまじまじとみた。
 シャオはそんな雄介の頭を肉急で抑えた。
「いってきますを言わんか、と言っとるんだ。何間抜けな顔して見とるんじゃ」
「シャオ、お前しゃべっ………」
「何当たり前のことをいまさら言っとる。とっとと行かんと遅刻するぞ。ん? おまえ……雄介とちいと違うな。詳しい話は家に帰ってから聞く。ほら、行け!」
「あっ、やっべ! い、いってきます!」
雄介はそう言って家を飛び出した。
シャオはそれをうんうんと満足したようにうなずきながら見送った。


 
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