ホラー
□死神屋敷
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「陣、今日一日これもっときなさい」
朝、陣は臨にお札を渡された。
「……厄除け? なんでまた?」
「とにかくもっときなさい。肌身離さず。いいわね」
そういう臨はいつもはつけてないお守り袋をつけている。たぶん中には同じ札が入っているのだろう。
それを見て陣は何も言わずおとなしく札をズボンのポケットに入れた。
*
その日一日、臨は何かを警戒しているような、なんだか近寄りがたい雰囲気があった。
放課後になって、陣は何とか自分に喝を入れて臨に聞いた。
「なあ、お前何そんなに警戒してんだ?厄除けの札までもたしてさ」
「……今朝の占いでさ……」
臨は毎朝その日一日の占いをする。
たいていは事務所に客が来るかどうかを知るためだ。客が来るならば事務所へ行き、来なければ部活をしたり好きなように過ごす。
臨の占いの正答率は9割以上。外れる可能性はまずない。
と、臨が言葉を続けようとしたとき、陣は誰かに名前を呼ばれた。
声のほうを見ると、一人の女生徒が教室の扉のところに立っていた。
臨は彼女の顔を知らなかった。
「誰?」
「如月深月っていう生徒会で一緒に会計係やってるやつ。どうしたんだろうな、いきなり」
陣はそう言って深月の元へと向かった。臨は陣を止めようとしたが、間に合わなかった。
臨の占いで出た結果。
今年、最も悪いことが起こる始まりの日
始まりの日、ということはそれがしばらく続くということ。
臨は扉のところで話している陣と馨を見た。陣は話しながらちらっと臨に目をむけるとすぐに馨に目をもどして彼女に頷いた。
それを見て、臨は嫌な予感を感じた。
今日の占い。
始まりの日。
陣が深月を連れて臨のところにきた。そのとき、臨は確信した。
これから深月の話を聞くことになり、それが今年最悪の出来事の始まりになるであろうことを。