ホラー

□死神屋敷
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 それは、七不思議の事件から一ヶ月ほどあとのことだった。

「ねえ、隣町の化け物屋敷のうわさ知ってる?」

 雨の降りそうな曇り空、芽伊里の一日はそんな弥生の一言から始まった。

「また怖い話? この間のあれで少しは懲りたかと思ったのに」

「その化け物屋敷はね、死神屋敷って近所でも有名な屋敷らしいよ〜。聞きたい? 聞きたい? しょうがないな〜じゃあ聞かせてあげよう!」

「わ〜なんかきれいに無視しやがって……この野郎!」

「へっ、なんか言った芽伊里?」

「もういい。あんたに何言っても無駄だって分かったから……」

「なにそれひど〜い!!」弥生は一度文句を言い始めると長い。

 仕方ない、と芽伊里はため息をついた。

「で、その死神屋敷のうわさってどんなの?」

 芽伊里は話を元に戻した。こうすれば弥生は文句を言うのをぴたっとやめるからである。ただし、聞くからには付き合うことになるだろう。

「えっとね、昨日塾の子に聞いたんだけど……。



"死神屋敷はいつ建てられたか、誰が建てたのかまったくわからない不気味屋敷だった。いつしかそこにはお化けが出るといううわさがたった。 ある日、そのうわさを聞いて面白半分にその屋敷に肝試しに中学生の四人組がはいった。次の日学校で、何か出たのか聞いたが、彼らは笑って何も出なかったと答えた。そしてその数日後……その屋敷に入った四人は全員死んだ。四人とも偶然にしては出来すぎた死に方で死んだ。 まるで死神が彼らを狙って殺したかのように……。そのことがあってからあの屋敷には死神が住んでいる。あの四人は面白半分で屋敷に入ったから死神が怒って殺したんだ。とうわさされるようになった。それ以来あの屋敷は死神屋敷と呼ばれている……。"


って言う話なの〜。どう怖そうでしょ? ねっねっ!」

「そう言われてもな〜。ねぇ、浩太」

「えっ、ぼっ、僕に聞かれてもわかんねーよ」

「はよ〜。なんだまた怪談話でもしてんのか?」

「おはよ。真人。ねえ死神屋敷って知ってる?」

「げっ、またかよ。この間のあれで……」

「懲りてないんだよ、こいつは。ほら、弥生。もっぺん今の話してやんな」

「オッケー。あのね……」

弥生は真人に話し終えた後

「ねっ怖いでしょ!」

「怖いでしょっていわれてもな〜。なんか実感わかね」

あれ以来真人はそうそうの怪談では怖がらなくなっていた。

「も〜、なんで皆この話の怖さがわかんないかな〜。そうだ!」

 弥生のそのセリフを聞いた一同の間に嫌な予感が走った。

「今度の土曜日皆でそこに行ってみようよ! 深月さんも連れてさ! 確かその日皆何も予定ないって言ってたよね!」

 弥生のマニア魂に火がついた。

 こうなってしまってはもう逃れるすべはない、と皆はもうすでにあきらめている。

 真人にいたってはまた深月に余計なことしたなと拳骨されるのを想像して痛そうな表情で頭を抑えている。
     
     *

「そういうわけだから、今度の土曜日にその死神屋敷とやらに行くことになったから」

 真人は深月にそういうとこの前あんなことあったばっかなのになんで学習しないんだあいつはなどとうんざりしたような暗い表情でぶつぶつ言いながら自分の部屋に戻っていった。

そのとき、真人は深月の表情が硬いものに代わっていることに気が付かなかった。
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