ホラー
□陰陽心霊探偵所
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「ここだ……」
山本優衣は一枚の扉の前にいた。
その扉のプレートには『陰陽心霊探偵所』と書かれている。
「ほんとに……あったんだ……」
うわさを頼りに優衣はここまできた。
優衣は扉を開けようとノブに手を伸ばした。と、その前に反対側から開けられた。
出てきたのは制服を着た少年だった。
「いつまで待つんだよ! 俺もう帰るからな!」
少年は中に向かって叫ぶと優衣の方を向いた。と、優衣を見ると少年は驚いたような表情をした。
いま、やっと優衣の存在に気付いたかのようだった。
「待ちなさい陣! 絶対来るんだってば! もう少し待って……」
今度は中から少女が出てきた。少年と同じ学校のものであろう制服を着ていた。
そして二人ともそっくりだ。どうやら双子らしい。
少女は優衣を見て言った。
「ご依頼ですか?」
「は………はい」
いきなり話しかけられたため優衣は思わず声が裏返ってしまった。
少女はそれを聞いて勝ち誇ったように笑い少年を見た。
「ほら、来たじゃない。やっぱり当たるわねー、あたしの占いは」
少年は悔しそうな表情をしながらも再び中へと戻った。
少女はそれを見送った後優衣のほうへ向き直った。
「ようこそ、陰陽心霊探偵所へ。どうぞ中へ。ご依頼内容、お聞かせください」
言って、少女は笑った。