ホラー
□学校の七不思議〜新校舎の怪〜
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≪序章:再び非日常への始まり≫
段々寒くなってきた一月の最後の日、あと一月足らずでこの学校を卒業する深月はしばらく教室の自分の席に座りぼーっとしていた。
明日からは一週間に一度の登校日に来るだけでいい。高校生活最後の本格的な授業は大嫌いな数学で終わり、先程ホームルームも終わった。
「なんか、あれだな〜。感慨耽るって、こういうこと言うんだろうな〜」
そう一人ごちてはーっ、と深く息を吐き出したところを、後からバンッと勢いよく背中を叩かれた。
「なーに黄昏れてんだよ!」
振り向くと友人の元木珠李だった。何かとスキンシップ色の強いよき友人だ。
「別にー、黄昏れてなんてないよ。どーしたの?」
「んー、明日から会えなくなるしせっかくだから忘れないでと願いを込めてのスキンシップだ」
「忘れられるか、あんたみたいな濃いキャラ。てか、家徒歩で五分と離れてないんだからいつでも会えるだろ」
「冷たいなぁ。こういうときは乗るもんだよ、空気読めー! そんなKYな深月にお知らせ。あの子達来てるよ。あたしの勘だと……いや、言うまい。これだけ伝えとく、がんばれ」
という言葉は珠李は深月の肩を哀れむようにぽんっと叩いた。それは本当に可哀相な事態が深月にやってくることを予想しているから。
「はー。うん、がんばる」
「これ餞別。某有名神社の悪霊退散のお守りとお祓いを受けた塩」
深くため息を着いて立ち上がった深月にそれらを珠李は渡した。
「ありがと」
「少なくとも卒業式までは生きていてくれよ」
珠李はそう言って深月を見送った。