*book*
□sentimentalB
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「亘、どういう事なんだ」
亘が机の上で授業の準備をしていると美鶴が側に来る。
美鶴は少し苛立っているようで、声が低かった。
「俺に何か言うことあるだろう?」
亘は美鶴が苛立っている理由が分かっていた。
今日はいつもより早く家を出た。
だが、美鶴といつも待ち合わせしている場所を通り過ぎ、そのまま学校へと向かった。
「先に行くなら…」
「美鶴こそ僕に言うことあるんじゃないの?」
美鶴の動きが一瞬ピタリと止まった。
すると亘は美鶴から目を離す。
「何で言ってくれなかったの?」
「どうしたんだ、亘?」
「何でだよ!」
バンッと机を叩き、ガタッと座っていた椅子から立ち上がる。
周りにクラスメートがいたが、今の亘はそれどころではない。
美鶴に食って掛る。
「香織さんと付き合っているんでしょ?いつ告白したの?」
「亘、何言って…っ」
「何で言ってくれなかったんだよ!!そうすれば二人が抱き合ってたって驚かなかったし逃げもしなかった!」
「違う、あれは…っ、それにココ教室…」
「煩いっ!!」
美鶴の言葉など耳に入らず、亘は教室を飛び出した。