*book*

□sentimental@
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「亘君」




美鶴と下校中、背後で誰かに呼ばれた気がした。
亘は振り向く。



「あ、香織さん!」



艶やかな黒髪をポニーテールにした少女。
亘達と同じ中学の女子の制服を着ていた。


香織は亘達の元にやって来る。



「やっぱり亘君だ!」

「なぁ亘、誰?」



美鶴は亘の制服の袖を引っぱる。
そして亘に小声で聞くと香織も視線を向けた。
亘は知っていても美鶴と香織は面識が無い。
知らないのは当然。



「あら、亘君のお友達…?」

「芦川 美鶴です。亘とは同じクラスなんです」

「そうなの。私は亘君とはちょっとした知り合いで大松 香織といいます。同じ学校だけど、中三なの。だけどよろしくね、芦川君」



二人は簡単に挨拶を交わす。
すると香織は笑った。



「亘君も、もう中学生なんだ。制服似合っているわよ」

「え…っ、そ、そうですか…?」



亘は思わず赤面する。
美鶴はその様子を黙って見ていた。
香織に対して嬉しげな表情を見せる亘。

突然香織は腕の時計を見た。



「あ、ごめんなさい。私これから用があるの。じゃあね、二人とも」

「さようなら、香織さん」



手を振り、先に行ってしまった香織。
亘もそれを見送るように手を振った。

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