*book*
□sentimental@
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「…どうしてそうなるんだ」
「別になんとなく、違うの?」
亘は首を傾げた。
一瞬言葉を詰まらせるが美鶴はため息をつく。
「…俺が誰かと付き合ったらお前一人になるだろ」
宮原やカッちゃんも中学に入った途端、急に彼女が出来たのだ。
二人はそっちに気が行っていて亘達とはあまり行動しなくなった。
「確かに美鶴までそうなったら寂しいケド、でも僕なんかに遠慮しなくてもいいんだよ!」
この時、彼を“お人好し”だと思う。
「いいんだよ。俺達は二人で。俺は亘といたほうが楽しいし…」
「そう?」
――――今でも覚えている。
自分を必死に追って来た亘。
幻界で『一緒に帰ろう』と自分の為に涙を流してくれた。
自分はそんな亘に恋している。
二年越しの思いは 伝わらないまま
「あーでも、もし彼女の事で何かあったら僕は協力するから美鶴も僕に協力してね」
「べ、別にそんな協力はしなくていい!それよりも協力って亘、お前好きな人…」
いるのか?
「数学の宿題。明日の朝でいいからノート見せてよ。今度僕当たるんだよ」
「は、数学…?」
亘の手には持っていた鞄から出された数学の教科書。
にこにこと笑う亘に対し真抜けな顔を見せる美鶴。
せっかくの綺麗な顔が台無しだ。
「どうかしたの?」
「いや、なんでもない…」
なんだか振り回された気分だ。