流れ星に願いを祈る
大好きなあなたと
ずっと
一緒にいられるようにと…

流星群


仕事帰り何気なく立ち寄ったカフェに彼はいた
昔と何一つ変わらないあの優しい笑顔のままで…

「あれ?もしかして優里?優里やろ」

背後から聞こえてきた声に後ろを振り返ると帽子を目深にかぶりいかにも怪しい男が一人…

「えっ…」

「俺や俺!」

そう言って帽子をずらしたその人は…

「?えっ…嘘なんで?」

「すっげー久しぶり何年振りや?」

「うん…びっくりしたまさかこんなところに亮がいるなんて思わなかったから…」

「何やねんそれ?」

私は亮に勧められるがまま彼と同じテーブルについた

「だってアイドルがこんなところにいるなんて普通思わないもん」

「アイドルだって普通の人間や」

そう言って笑った亮の笑顔は昔と何一つ変わってなくて

「ふふ…亮らしいね」

「それは誉められてんか?」

「もちろん」

「ならええわ」

言って亮はコーヒーを口に運んだ
その仕草はもうすっかり大人の男で見惚れてしまった

「優里見過ぎ恥ずかしいやろっうか金取るぞ?」

「え〜だって芸能人を目の前で見るなんてめったにない経験だからよく見とかないと勿体ないでしょ」

「芸能人って…んな普通の人と変わらんで?」

そう話す亮は昔のままの亮で…

「亮らしいね」

「そうか?」

その後も他愛もない話をして過ごし気がつけば…

「うわぁもうこんな時間早く帰んなきゃ」

時計を見るともう九時を過ぎていて

「何?誰か待ってんか?彼氏とか?」

「ノーコメントさてと帰るね今日は会えてよかった楽しかったよ」

「俺も久しぶりにゆっくりできたわそうだこれ…」

そう言って亮は数字の書かれた紙を手渡してくれた

「何?」

「俺の連絡先いつでも電話して」

「悪用するかもよ?」

「優里を信用しとるから優里は大丈夫」

自信満々に言い切る亮はやっぱり優しい笑顔で私を見ていた

「ありがとう」

「またゆっくり会おうや?」

「うん…」

お店を出ると送ってくれると言った亮に私は大丈夫と言い切ってそこで別れた

家に帰ると時計は十時を指していて私は音をたてないように玄関を開けると…

「おかえり」

「ただいま…まだ起きてたんだね…」

「今日は随分遅かったんだね?心配したんだよ」

音をたてないように開けたドアの反対側に立っていた彼は表情も変えず淡々と話…

「ごめんなさい…」

全て見透かされているように感じた私は素直に謝るが…

「優里」

一際静かに名前を呼ばれ次の瞬間…

“ビリッ…”

力強く洋服が引き裂かれボタンが弾き飛ぶ
その行為から彼の機嫌が悪いこと私が他の男と一緒だったことを見抜かれている事がわかった

「…あっ…」

露になった下着の上から乳房を鷲掴みにされ…
いやらしい言葉で責められる

「こんな事をされて感じるなんて優里は本当に淫らしい女だね」

「そんな…」

「違うって言うのか?なら体に聞いてみようか?」

言ったかと思うと何の前触れもなく彼の指が陰部に差し込まれ激しく奥を突き立てられる

「やっ…あっ…んっ……あぁ…」

「優里は嘘つきだね?こんなに濡れているのにまだ違うって言えるの?」

そう言うと彼はさらに激しく指を動かし…
それだけで快楽の絶頂を迎えそうになる

「あっ…やぁぁ…」

「嘘つきにはきちんとお仕置きしないとね」

言って陰部から指を抜き取ると軽々と私を抱き上げ寝室へ場所を移動した
その言葉の意味を知っている私は彼に許しを請うもそれで許されるわけもなく…

「ごめんなさい…許して…」

私の言葉など聞こえてないかのように…

「今日は二度と優里が嘘をついたり出来ないようにしっかり躾けないとな?」


彼の出ていった寝室のベットの上に私はぐったり横たわっていた

体を動かすたび体のあちらこちらに鈍い痛みを感じる

「……」

窓の外に視線を移し空を見つめる

「流れ星…」

流れ落ちる星を見つけて痛む体を引きずるように起こし窓に近づく

空から降り続く星達に願いをかける

「ここから逃げたい…」

そう願った瞬間携帯が着信を告げた

私は彼に気ずかれないよう相手も確かめず電話に出ると…

「もしもし優里?」

聞こえてきた声に涙が零れた

「…亮…」

「こんな時間だから明日にしようかと思ったんやけど無事帰れたか心配やったから」

携帯からダイレクトに聞こえてくる亮の声に涙が止まらなかった

「亮…」

「優里泣いてるんか?なんかあったんか?」

亮の優しいだけど心配そうな声を聞いた瞬間私の中で何かが弾けた

「助けて」

それから後の事はよく覚えていない

虚ろに覚えているのは…

携帯をきってさほどたたずに聞こえてきたインターホンの音彼の誰かと激しく言い争う声そして…

寝室のドアを開けて中に入ってきた亮に強く抱き締められたこと…

そのまま亮とあの部屋を出たこと…

「優里?」

泣きたくなるくらい優しい亮の声が私の存在を確かめるように呼び掛ける

「…ごめんね…」

ずっと抱き締めていてくれる亮の胸に顔を埋めたままたくさんの意味をこめて謝る

「優里が謝ることなんか何もない…もう何も心配せんでいいから…」

「…ごめんね」

もう一度小さくつぶやくと…

「ほんまは今日あそこにいたん偶然なんかじゃないんや優里の事聞いてほっとけんかった…あの時無理矢理にでも連れ去ればよかったんやそうすれば…」

辛そうに呟く亮の言葉に止まったはずの涙がまた溢れだした

「亮…」

「ずっと好きやった…優里を忘れたことなんかなかった」

言って亮は優しく笑って…

「俺が守るから…もうどこにも行くな…」

「だけど…」

「優里がいてくれたら俺は何もいらないから」

その時流れ落ちる星を見つけて…

流れ星に願いを祈る

亮とずっと一緒にいられるようにと…



END


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