FFDC



*気になる季節*





DG、零番魔晄炉より。
ここにも、この暑さに呻く声があった。

白「暑い」
黒「暑いですね」
蒼「うむ…」

そんな彼らに、黒い影が歩み寄ってくる。

ブシャアアアアアアアアアア

突如どこからか白い煙が噴出してきた。
それをもろに被り、ヴァイスは声を上げる。

白「ぎゃああああああ!」
蒼「敵襲か!?」
黒「一体何なんです!?」

朱「あんたらねぇ…」
無「……」

見上げた場所には、いつの間にかロッソとシェルクが立っていた。
その手には、例の襲撃犯が握られている。

無「夏だから仕方ないとはいえ…」
朱「くっさいのよ!!!!」

二人の手にはガッチリと
エイトフォー(石鹸の香り、ロッソ愛用)が握られていた。

朱「特にヴァイス!!」
白「なんだとー!!」

ロッソはそう言って、立ち上がったヴァイスをしっしっとやりながら言う。

朱「もう臭い!
汗臭い!足臭い!
全てが臭い!!!!」
白「なっ…ネロ、俺は、そんなに足臭いか?」
黒「足ですか…。
……まぁ、臭いんじゃないですか?」

いきなりずれた質問を振られ
曖昧に返すネロ。
そんな一言にかなりショックを受けているヴァイス。

朱「ネロもネロよ!
あんたその拘束具なんとかなんないの?
見てるだけで暑いわよ!!」
黒「なんとかしろと言われましても…。
これを外すと闇が暴走してしまうので」
朱「それくらい自力でコントロールできるようなんなさいよ!
23でしょ!!ツヴィエートでしょ!!」

そこで沈んでいたヴァイスが立ち上がった。

白「貴様!!俺のネロを…」
朱「近よんじゃないわよ!
あ、もぅ臭い!足臭い!!」
蒼「何故足なのだ?」

またしてもロッソにエイトフォーを吹き掛けられ、ヴァイスは凹んでるし。

白「くっ、しかし汗臭さで言ったら、俺よりアスールの方が臭さいのではないか?でかいし。」
朱「何言ってんの?
アスールは四六時中亀虫の臭いしてんじゃない。
しかも、あんた汗臭さでもトップレベルだから」
蒼「ええええええええ!?
我亀虫の臭いすんのぉぉぉぉ!?」
白「俺、トップレベルかよぉぉぉぉ!!」

沈没組が二名に増えた所で、いよいよ本題に入る。

黒「しかし本当に暑いですね。
シェルク。
DGには冷房システムのようなものはないのですか?」
無「実はそれの起動をしようと、いちおDG総帥であるヴァイスの許可を頂くためここへ来たのですが…」

見てみれば、エイトフォーをかけまくるロッソと半泣きで喧嘩してるし。

…ってか、ロッソほとんど苛めじゃね?

無「許可をとるまでもないですね…」
黒「行きましょうか、シェルク」

そして、二人はその場をあとにした。





空調システム管理室。


埃まみれの室内を見回し、ネロは呟く。

黒「大分汚れていますね。」
無「はい。長いこと使われていないようです。
私もSNDを通してこのシステムの存在に気付いたので」

シェルクは、機器を見つけると、それの電源をつけた。

無「では、私はこれからSNDでこのシステムに干渉します。
すぐに済みますので」
黒「えぇ」

そして、シェルクは、側にあった椅子に座ろうとした。

…が、そこには、先客がいた。

無「!!」
黒「…どうしました?」

条件反射的に、後ろを向いていたネロにしがみつく。

無「い、いいいいいいえ。
べべべべべべべ別に何でもありませんっ」

シェルクはなんと説明したら分からず、
慌てたように離れるとそう言う。

黒「そうですか?」
無「は、はい」

そう言って向き直ると、椅子に目をやるが、
……やっぱりいる。

かと思うと、先客はこちらを向き、漆黒の羽をばたつかせ、此方に飛んできた。

これには、さすがのシェルクも声を上げた。

無「ネ、ネロっ!!ネロ!!!!
ゴ…G!!Gがぁ!!!!」

ネロは、この叫び声に直ぐ様振り返ると、闇でそれを回収した。

黒「大丈夫ですか?」

正気を取り戻したシェルクは、顔を真っ赤にしてネロに頭を下げた。

無「す、すいません」
黒「いえ。いいですよ。
それに、アレは兄さんですら見つけた途端に絶叫ものですから、シェルクが嫌がるのも仕方ないでしょう」
無「…はい」

それから、いちお他にいないか探索したが、全部ネロが闇で回収してくれた。

黒「ふぅ…。これで全部ですかね」
無「ネロ、ありがとうございます」
黒「いえ。気にしないで下さい。
このくらいはしないとですから」
無「…そうですか」

シェルクは微笑する。
そして、椅子に座った。

無「では、気を取り直して、
センシティブ・ネット・ダイブかい…」

言いかけたそのときだった。

「弟よーーー!!!!」
黒「なぁーーーーー!!」

いきなりジェネシス(通称G)が現れた。


無『…ついに本物が来てしまいましたか』
G「会いたかったぞ弟よ!!」
黒「何なんですかあなたは!
一体どこからやってきたんです!?」
G「とぼけるな弟よ!
さっき呼んでいたではないか!」
黒「呼んでませんよ!!
いい加減にしないと呑みますよ!!」
G「兄に逆らうな!弟よ!!」
黒「暑いんだからくっつかないで下さい!!」

抱きついてくるジェネシスに蹴りを入れながらネロは叫ぶ。
と、ジェネシスがシェルクの存在に気付いた。

G「ん?ネロ、あの子は一体だれだい?
!!まさか、彼女かい!?」
黒「何故あなたの頭の中はいつもピンク色なんですか?
彼女は、同じツヴィエート仲間の無色のシェルクですよ」
G「へぇ〜」

いちお、お辞儀をしたシェルクを見、ジェネシスはあることに気付いた。

G「まてよ、ネロと同じ色つきのツヴィエート…?
…ってことは」

ネロも、ジェネシスが言うであろう言葉を想像し、次の瞬間ジェネシスの体を押さえた。
ジェネシスは叫ぶ。

「妹よーー!!!!!!」

シェルクどん引き。
ネロは、全力でシェルクに飛び付こうとしているジェネシスを押さえ込む。

黒「シェルク!
僕がGを押さえているので、その間にSNDを済ませてしまいなさい!!」
無「…しかし、ネロ、大丈夫ですか?」
黒「早く!!」

ネロの剣幕に、シェルクは急いでSNDを始めた。




SNDを終え、冷房をつけ終えたとき、何故かジェネシスの姿はどこにもなかった。

無「ネロ…、ジェネシスは一体…。」
黒「…シェルク、害虫は、回収されるために在るんですよ」

そんなネロが恐くて、それ以上は聞けないシェルクだった。




零番魔晄炉につく頃には、冷房の効き目は抜群になっていた。

朱「あら、いつの間にいってたの?」
白「どうも涼しい気がしていたわけだ」

エイトフォーのパウダーのお陰で、文字通り真っ白になったヴァイスが言った。

が、報われない存在というのもいる。

蒼「クーラー利いてたって我の亀虫臭は改善されん…」
白「とにかくだ!
冷房も利いてるんだからこんなもんは没収だ没収!!」

そう言ってヴァイスは、
ロッソのエイトフォーを取り上げた。

朱「いいじゃない。
ゴキジェットかけられるよりは」
白「五月蝿い!
もう貴様はスプレー類を持ち歩くな!!
ゴキジェットもだ!!」

と、ネロは、ゴキジェットで思い出す。

黒「そうでした。
兄さん、実はさっき―」


G「ふはははは!甘いよネロ!!
たかがゴキブリだらけの闇の中に放り込まれただけで、
僕がやられると思ったのかい!!?
さあ、強制大人のおままごとを始めよう!!
ネロは、お母さん!
シェルクは娘!
ヴァイスはペット!
そして、
勿論お父さんはこの僕、
ジェネシス・ラプソード…」


ブシャアアアアアアアアアア


次の瞬間、どこから持ってきたのから知らないが、
ヴァイスがゴキジェットをジェネシスに吹き掛ける。


G「ぎゃあああああああああ!!!!」


白「どっからわいてでたコノヤローが!
貴様なんかゴキブリ役で十分だ!!
全身全霊で徹底的に駆除してやる!!」


それから、ジェネシスのタコ色コートが白くなるまで、逃げ回るジェネシスに、ゴキジェットを吹き掛け続けたヴァイスだった。


余談だが、
そのあと、汗だくになったヴァイスは、
ツヴィエート全員から、Agを吹き掛けられたんだとか。



冷房があってもなくても、臭いもの扱いされるヴァイスだった。


…というか。


黒「兄さん、Tシャツくらい着たらいいでしょうに…」





-fin-



――――――――――――――

拍手ありがとうございました!
何か一言あればお願いします♪
オゾンの励みになります☆☆


 






[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ