短編

□黒の日闇の日
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ここはディープグラウンド。略してDG。この日もそこでは殺戮が繰り広げられていた。







ガラガラッ
「ただいまーっ」
「何がただいまですか。遅いですよヴァイス。」
零番魔晄炉の扉を開けてやってきたヴァイスに、シェルクがそう言う。
アスールとロッソも続けた。
「うむ」
「ホントよ。召集した本人が何で一番遅いわけ?」
不機嫌そうに言うロッソにヴァイスは返す。
「ごみ虫(DGソルジャー)共がいっちょまえに反乱とか起こそうとしてたから、ちょっと消してたら予想以上に時間がかかってしまってな。呼んどいてなんだが、間に合わんと思って、サザエ〇ん的なナチュラルな感じで登場してみたという次第だ。」
「バッカじゃないの!?そんなのネロにやらせりゃいいじゃない。闇で一発でしょ。」
「というか何故サザエ〇んなのでしょう」
シェルクが小さくツッコんだ後にヴァイスがロッソに言う。
「バカはお前だ。今日はネロの手を煩わせる訳にはいかんと言うのに」
「なんですって〜(怒)」
と、ネロ、という言葉に、シェルクはあることに気づき辺りを見回す。
ツヴィエートのメンツがいるなか、ネロ、彼の姿だけが見当たらなかった。
それを察したのか、アスールが今まさにロッソと斬り合いをしているヴァイスに問う。
「ヴァイスよ。何ゆえここにネロが来ておらんのだ?」
「そう!それだアスール!」
次の瞬間、動きをとめ、大声で言ったヴァイスの横っ面にロッソの蹴りが刺さった。
ヴァイスはそのまま勢いに任せて壁に激突する。
砂煙がまい、しばらくの静寂の後、ヴァイスは瓦礫の中からゆっくりと起き上がった。
「今日は9月6日だろ」
「だから何」
荒々しくロッソが言うのに、ヴァイスは返す。
「今日はネロの日なんだ」
「は?」
「お前達を呼んだのは他でもない。ネロのお誕生パーティーをやるためだ」
ロッソの中で、ぷっつーんと何かが切れた。
「そんだけのためにあたしらを呼び出したのかオメーは!!!!!」
「そんだけとは何だそんだけとは!俺のかわいい弟だぞ!」
「ヴァイスが言うと兄弟の域を越えているように思えてならないのですが。」
そしてまた二人で戦闘はじめちゃってるし。
二人が暴れ回るせいで、部屋(っていうのか?)の中はホコリが舞うは、壁が崩れるはで散らかりまくっている。
「こんなことで、そのパーティーとやらは出来るのであろうかな」
「ヴァイス、ちゃんとやって下さい」
しかし二人の声は、届いていなかった。
ネロなら“闇に呑みますよ”の一言で、二人を黙らせることができるのだが。
――ネロがいれば…
そう思わずにはいられないシェルクだった。
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