短編

□黒の日闇の日
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「ヴァイス、いい加減にしてください。このままではネロを祝う前に一日が終わってしまいますよ。」
「ぬぉっ!それはいかん!」
「ロッソも。
ドム〇ルンリンクル買ってあげますから。アスールが。」
「何故我なのだ!?」
シェルクの言葉に、ロッソは舌打ちをすると、仕方なく武器を収めた。
「で、具体的にあたしらは何をすりゃいいの?」
そう言えば、パーティーなど一度もしたことがなかったので、ロッソは勿論、アスールやシェルクも何をしたらいいのか判らなかった。
ヴァイスは玉座に腰を下ろしながら言う。
「SNDから得た情報によれば、何でも飾り付けた部屋で、皆でケーキとかいう物を食い、その後でプレゼントを渡せばいいらしい。」
「何よ、楽勝じゃない」
飄々として言うロッソとは反して、アスールは顔をしかめて言った。
「ヴァイス、大きな問題があるとすれば一つだな」
「お前も気づいたか」
首をかしげている二人に、アスールとヴァイスは言った。

「「ケーキって何!?」」

ロッソは軽く頭を押さえる。
ここはDG。確かにここにいる者達が、ケーキなど口にしたことがないなんて予想するのは容易かった。しかし…。
――存在ぐらい知っとこうや
「ケーキとは、料理の中でもスイーツと呼ばれる物の一種で、クリームやフルーツなどでトッピングされた甘味な食べ物です。購入するとなるとそれなりの価格はしますが、作るならDGの設備でも十分作れますよ。」
シェルクの説明に、ヴァイスはあまりよくわかっていないような表情を浮かべながらも、頷いた。
「よし。
ではまずは、そのケーキとかいう物を作る係りと、部屋を飾り付ける係りとで別れるぞ」
そこでロッソが口を出した。
「どーでもいいけどさ、
シェルク、あんた作り方知ってんの?」
「いえ。ですから今からSNDでレシピを検索して来ます。
見つけ次第、制作に取りかかりたいので、誰か一人、来てほしいのですが…。
あ、ちなみにヴァイス以外でお願いします。ネロを毒殺してしまう危険性があるので。」
ヴァイスは、上げようとしていた手をしゅんと引っ込めると、部屋の隅の方でうずくまってしまった。
どうせ俺なんて、どうせ俺なんて、とかいう呟き声がするが、気にしない気にしない。
「ではアスールは背が高いので、部屋の飾り付けをしてください。」
「うむ。」
「ロッソは私がSNDで検索している間、エプロンと三角巾を用意、装備してください。」
「はいよー」
「ヴァイスは……………………………………………………」
「おい!なんでそこ止まるんだ!!!!」
ヴァイスの声に、シェルクは内心こう思う。
―ヴァイスの場合何をしても何かを破壊しそうなので、極力何もしないでいてほしいのですが……
しかし、ヴァイスの目は本気で弟のために何かをしたいという思いで輝いていた。
シェルクは仕方なく言う。
「ではヴァイスはネロへのプレゼントを考えて下さい」
この言葉に、ヴァイスの顔が、ぱぁぁっと明るくなった。
「おう!任せろ!!」
直後ヴァイスはどこかへ走って行ってしまった。
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