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□Love is Blind
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「好きです」

「……は?」


この人誰だっけ、なんか見たことある気がするけど残念なことにこの状況について行けず、私の頭は完全にフリーズした。
悪戯仕掛け人達が今からいろいろやらかすらしく、それに私も誘われた。
久々の悪戯参加だから、私はルンルン気分で廊下をスキップしていたら、目の前に現れたスリザリンの男の子。
グリフィンドールの私に「スキップすんなハゲ」とか言ってくるのかと思った、もしそう言ってきたらこいつの頭の毛を全部むしり取って「ハゲはお前だ」って真顔で言おうってそこまで考えてたのに。
目の前の彼の口から飛び出したのは、予想外のとんでもない言葉だった、え、何、好き?


「アリス先輩、聞いてますか?」

「ぅへぁはえっ!」


何で名前知ってるんだアンビリーバボゥッ!


「…もしかして、僕のこと覚えてませんか?」

「あ、え?面識ありましたかスミマセン覚えてません私の記憶は二時間しか保ちません」


彼はクスクスと笑った、よく見るとこの人美形だな。


「この間廊下で会ったんですが、もうあれから二時間以上たってますからね」


あれ、なんかこの人の目、シリウスに似てるような……って、この人に失礼か。


「僕はレギュラスです、シリウスの弟の」


レギュラスくんか、シリウスの弟ねー……シリウスの…弟………って。


「あーっ!この前シリウスに暴言吐いた弟くん!」


いつだったかはやっぱり思い出せないけど、私とシリウスがスリザリン寮に悪戯を仕掛けに行ったとき、たまたまレギュラスくんに会ったんだ。
シリウスはレギュラスくんを見て嫌そうな顔をしてたけど、レギュラスくんはその何十倍も嫌そうだった。
二人とも立ち止まって睨み合ってたから、私が「この人誰?」って聞いて、シリウスは「弟のレギュラス」って短く答えた。
私がレギュラスくんに視線を向けると、怖いくらいにっこり笑って。


「僕の人生最大の失敗はこの人の弟として生まれたことなんです、早くこの世から跡形もなく消え去って生まれ変わったらアリにでもなればいい、僕が真っ先に踏み潰してやりますよ」

「……あ、えと。シリウスの友達のアリスです、よろしく」


そんなやり取りをしたようなしてないような、多分した。


「あれは暴言じゃなくて、愛情の裏返しです」

「あのあとシリウス暫くショック受けてたよ」

「今あいつの話はどうでもいいんです」


あいつ呼ばわりの上にどうでもいいって言われちゃったよシリウス、かわいそーに。
レギュラスくんのこと心配してるみたいだけどまったくもって伝わってなかったんだね。


「僕はあなたが好きです」

「こらー、話飛びすぎだし意味不明だよ」

「愛してます」


もうなんなんだこの子は、何で恥ずかしげもなく…あ、愛してますとか言えるかな!


「私急いでるからじゃーねっ!」


何かの嫌がらせだよね廊下で"愛してる"って言うなんてさ。
周りの人たちがにやにやして見てるし恥ずかしいっ。
私はレギュラスくんに背を向けて一目散に逃げた。
くっ、敵前逃亡なんて悔しすぎる!
……それよりも、レギュラスくんのおそらく嫌がらせの言葉に、どうしようもないくらいドキドキしてるのが悔しかった。


そして嫌がらせはその日だけでは終わらなくて。
廊下だったり図書室だったり、所構わずレギュラスくんは私に何度も告白した。


「アリス先輩おはようございます」

「おはよ…」



朝、大広間でレギュラスくんに出くわしてしまった。
今日も綺麗な笑顔ですね。


「誰よりも、あなたが好きです」


相変わらず私の心臓はうるさくて、周りの視線は私たちに突き刺さる。


「もういいよ、」

「え?」


レギュラスくんの嫌がらせに勝手にドキドキして、一人で振り回されてバカみたいじゃん。
そう思ったら急に悲しくなって、寂しくなって、私レギュラスくんのこと好きになっちゃったんだって気づいた。


「嘘つかなくていいよって話。好きでもない人に好きだなんて、言ってて気持ちいいもんじゃないでしょ」


私は笑ってみせたけど、レギュラスくんは笑わなかった。


「嘘じゃないです」

「だってふつう、好きな人にみんなの目の前で告白なんてできないよ。絶対恥ずかしいもん」

「周りなんて見えてないですから」


レギュラスくんは私を優しく引き寄せて、抱きしめて、よくわからないけどその優しさに涙があふれてきた。


「あなたを好きになったその瞬間から、あなた以外、目に入らないんです。……それに」


抱きしめる力が少し強くなって、レギュラスくんの心臓の音が伝わってきた。


「それなりに緊張してるんですよ、僕だって」


Love is Blind


(きみ以外、何も見えなくなっても良い)



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