五万打

□毎日君に恋をする
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レギュラスくんはとっても可愛い。今までで一番可愛かったのは、私に告白してくれたときだろうか。"あの"レギュラスくんが照れていて、私まで恥ずかしくなってしまったのを覚えている。
可愛いって言うと少し嫌そうな顔をしたり、好きだよって言うと僕もですってはにかんだ笑顔を見せてくれたり。そんな可愛いレギュラスくんの彼女でいられる私は紛れもない幸せ者なのだ。

静かに本を読むレギュラスくんの向かいで、私はチョコレートを口に運んだ。課題図書らしくて、早めに終わらせたいらしい。偉いなあ、課題図書なんて真面目に読んだことない気がする。ページをめくる指がきれいで、ついみとれてしまった。
みとれるといえば、クィディッチしてる時はかっこよくて目が離せなくなる。観衆の中からすぐに私を見つけ出してくれるけど、どんな魔法を使ってるんだろ。試合前や終わったあとに必ず目が合うのは、たぶん勘違いじゃない、と思いたい。
チョコレートと一緒に幸せを噛み締めていると、レギュラスくんが不思議そうに私を見た。


「何かいいことでもありました?」

「レギュラスくんは可愛いなって」

「…あんまり嬉しくないな」


いくら年下だからって可愛いは失礼だろうか。でも出会った頃は本当に、弟のように思っていたのだから仕方ない。しっかりしているし私より考え方はずっと大人だけれど、やっぱり実際次男だからか可愛がりたくなるキャラだ。


「勿論かっこいいよ」


申し訳程度に後付けするけど、レギュラスくんは不服そうなままだった。そうやって拗ねるところも可愛く思ってしまう。


「僕といてもドキドキしない、弟みたいって前に言ってましたよね」

「それは付き合う前でしょ」


ずっと弟のように思っていた人に告白されて、戸惑いはあったしいきなり恋人のように接することはできなかった。それでも私が付き合うことにしたのは、やっぱりどこかで彼が好きだったから。
付き合ってからレギュラスくんの新しい部分を発見して、毎日好きになっていく。このまま好きが積み重なったら、私はどれだけレギュラスくんを愛したらいいんだろう。


「そうだと良いんですけど」

「レギュラスくんと一緒にいると、いつも幸せだよ」


なかなか恥ずかしいセリフだけど嘘ではないから。嫌なことや辛いことがあったとしても、レギュラスくんがくれる幸せに比べたらそんなの小さすぎるものだ。


「ほんと、アリスさんは直球ですね」

「受け止められるのはレギュラスくんしかいないよ」


もう一個、と再びチョコレートに伸ばした手を、優しく掴まれる。食べ過ぎって意味か。手を引こうとしたけどレギュラスくんは離してくれなかった。
テーブルを挟んで繋がれた手が暖かい。


「僕もあなたもまだ学生だし」

「そうだね」

「僕が卒業するのはあなたより一年遅いけど」


私がどうしようもないくらいドキドキしてるの、ちゃんと伝わってるかな。私がどれだけ、夢中になっているのか。


「今言わないといけない気がするんです」


真っ直ぐに見つめられて、息をするのを忘れてしまいそうになった。呼吸をして、私の耳が、彼の声だけを拾う。


「僕と結婚してください」


私の為だけに向けられた言葉を、私だけが聞いていた。
ほら、また、私はレギュラスくんに恋をしている。


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