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□変態レギュ
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朝起きたらレギュラスに抱きしめられて寝ていた、なんてこった。
お腹に回るレギュラスの手の甲を思いっ切り抓ってやると「いったたたた!」と言いながら目を覚ました。
解放された私はすかさずベッドから起きてすでに身支度を始めている友人に挨拶した。


「おはよう、この変態いつからいた?」

「分からないけど私が起きたときにはもういたわよ」


そう言いながら友人は平然と部屋着を脱いで制服に着替え出した。
レギュラスの目の前で恥ずかしげもなく隠しもせずに!


「ちょっと何やってんのさ男が見てるってのに」

「だってレギュラスくんはアリスにしか興味ないものね?」

「えぇすみませんがその通りです」


そういう問題なのか、いや違うよな、何か根本的に間違ってるよな。


「大体何で起きたときに追い出してくれなかったの…」

「え?だってレギュラスくんはあんたの彼氏でしょ?」

「そ、うだけど」

「じゃあいいじゃない」


どうして私の味方がいないんだ、挫けるぞ、何が正しいか分からなくなってきたけどとりあえずレギュラスが私のベッドにいるのは間違いだと思う。


「レギュラスもよく平気で女の子の部屋に入って来れるね」

「鍵はついてないので簡単ですよ」


だからなぜさっきから話が通じない、朝から本当に疲れる。
彼女が寝ている間にベッドに忍び込んで来るような男が私の彼氏かと思うと頭が痛い。
そしてレギュラスが私のベッドにいるのが特に異常ではないと思われてるのがすごく嫌だ。


「アリス先輩、おはようのキスを」

「そんな恒例行事みたく言われてもしな…っ!」


どうしてこうなるんだ、どうして友人の目の前でキスされなきゃいけないんだ羞恥プレイですか。
終いには舌を入れようとするものだから遠慮なく噛みついてやった。


「…痛いです、今日はなんだかバイオレンスですね」

「自業自得だ、朝から舌入れてくるとかどういう神経してんだよ」

「あら、朝じゃなかったらいいのかしら?」


いつの間にか着替え終えローブを羽織りながら友人は楽しそうに笑った、レギュラスは「成る程夜なら…」と頷いているし私は一体どうしたらいいんだ。


「いつまでもいちゃついてないで早く着替えないとご飯食べる時間なくなるわよ」


友人はそのまま部屋を出て行ってしまった、見捨てやがったな覚えてろ。


「さて、二人っきりになりましたね何しましょうか」

「着替えて大広間に行く」


するとレギュラスはあろう事か私をベッドに組み敷いた、もう頭がついていきません。


「セックスしましょう」

「バカかあんたは」

「何を今更恥ずかしがってるんです、一線越えた仲じゃないですか」

「おい私は処女だぞ」


今日のレギュラスは一段と変態だ、いい加減着替えないと朝御飯を食べ損ねてしまうというのに!
私は無意味と分かっていてもレギュラスの胸板を抵抗の意を込め押した。
しかしレギュラスは私の予想と反してすんなりと上から退き、隣に寝転んだ。


「夢を、」


今までの調子はどうしたのかと思うほどしおらしい声で言うから私は顔を見ようとしたけれどそれはできなかった、気づいたらきつく抱きしめられていたからだ。


「夢を、見たんです」

「どんな夢を?」

「怖い夢を……アリス先輩が、消えてしまう夢を」


だから心配になって夜私のベッドに潜り込んだのか、と納得してしまいそうになる自分を叱咤した。
私の姿を確認したら自分の部屋に戻ってもいいじゃないか。


「どこにも、行かないで」

「卒業したらいなくなるよ」

「意地の悪いことを言わないで下さい」


なんだかおかしくて笑ってしまったらレギュラスは私の肩口に埋めていた顔を上げて私の頬を引っ張った、いい痛い痛い!


「僕は真剣なんですけど」

レギュラスに離されてもヒリヒリとする頬をさすりながら私は言った。


「どこにも行かないから、泣きそうな顔しないでよ」


そんな顔をされるとどうしたらいいか分からないし私まで泣きたくなってくる。


「どこにも行かないで下さい」

「わかった」

「約束ですよ」

「うん、約束」


レギュラスはようやく安心したように微笑み、私の耳元に唇を寄せた。


「卒業しても一緒にいて下さい」

「浪人しろってこと?それともプロポーズ?」

「さぁ、どっちでしょうね」


レギュラスの背に手を回し二度寝の体制に入る。
お腹が空くだとかきっと一限目の好きな教科に出席できないのとか、くっつきすぎて暑いのは我慢しよう。
今はこの幸せな時間が長く続けばいいと思うんだ。


「こらレギュラスくんどさくさに紛れてどこ触ってるのかな」

「この雰囲気ならいけるんじゃないかと思って」

「調子に乗るな変態」


こんな変態のどこがいいのかと自問して、全部だとすぐに答えが出たのは秘密。


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