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□おやすみコール
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『よぉ元就、元気か?』

「うむ」

『そりゃよかった』


12時を過ぎて、もう寝ようと布団に入り込んだとき携帯の着信音が鳴った。
携帯を開く前に誰からの着信であるかはわかっていた。
奴に設定してある、奴の好きな曲だ。我にはその曲の良さはわからないのだが。

元親がこちらの都合も考えず電話してくるのはいつものことだった。
しかし、元気か?なんて昨日会ったばかりの奴がの台詞とは思えない。
一体何の用だというのだ?
我は考えを巡らせながら尋ねた。


「こんな時間に何用ぞ」

『いや…別に用はねぇんだが…』

「は?」

『その、急に元就の声が聞きたくなってよぉ』

「…そうか」


奴らしくくだらない、時間の無駄とも思える理由ではあったが、何故か嫌ではなかったし、呆れもしなかった。
いつも大した用もなく電話してくるので、慣れているのかもしれない。
ちなみに着信履歴は奴の名前で一杯だ。


『…怒らねぇのか?』

「何だ、怒られたいのか?」

『や、違うけどよ。くだらぬ、とか言うと思って』

「切るぞ」


そう思うなら聞くな。
それこそくだらぬ。
そう思い、我は携帯から少し耳を遠ざけた。


『待てよ』

「何だ」


再び携帯に耳を近づける。
もう用は済んだではないか。
いつまでもうだうだと言いおって。


『おやすみ。いい夢見ろよ』

「………」


なんだ、こやつそれを言う為にわざわざ電話してきたのか。
全く、煩い奴だ。


「…そなたは悪夢を見るがよい」


電話の向こうで『はぁ!?どういう意味だよ!!』と、馬鹿でかい声が聞こえた。
電話を通してだから音が割れて耳が痛かったのでまだ何か言っていたようだが電話を切った。

携帯を閉じてからひとり冗談ぞ、と呟いた。

どうせアホな元親のことだ。
今頃我に何か悪いことをしたのではないかと必死に考えておるのだろう。
しっかり悩むがよいわ。











おやすみコール










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悪夢見ろってのは照れてるのを隠したいから


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