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□カリフォルニアポピー
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「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ…ハッ」
半兵衛が突然咳き込みだした。
背を丸めながら口元を押さえている。
すごく苦しそうだ。
「半兵衛!?大丈夫かい?」
俺はとっさに半兵衛の側に近寄った。
背中をさすりながら顔を覗き込む。
「…っ心配いらないよ。出ていきたまえ」
「でもっ…」
こんなに苦しそうなのにほっとけるわけがない。
だが、半兵衛は俺に弱ってる姿など見せたくないのだろう。
出来ることなら俺が変わってあげたい。
「いいから早く!!」
俺は強制的に部屋から追い出された。
縁側から空を見上げる。
今日は空が澄んでいて、星がよく見える。
部屋からは未だに半兵衛の咳き込む声が聞こえた。
あの星に願ってみよう。
こんなに沢山あるんだからどれか一つくらいは叶えてくれるかもしれない。
今自分にできることはこれくらいしかないから…。
「半兵衛が元気になりますように」
それは呟くような叫びだった。
願いを叶えて
(あの星に願いを込めて)
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