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□前田半兵衛
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「前田半兵衛…うん、悪くない」
「…は？」
思いついたから言ってみたら、思いっきり嫌な顔をされた。
そこまであからさまに顔に出さなくてもいいのに。
「嫁になっても大丈ぶっ」
「死にたいのか！」
気にせず続けたら顔面に拳が飛んできた。
手加減なんてしてくれない。
「待て、待って！名字にさ、合うかどうかやってみただけだって！」
もう一発飛んできそうだったので、慌てて言い訳を言った。
半兵衛はそっぽを向いてしまって、こっちを向いてくれない。
「前田になる気はさらさらないからね」
「まぁ…竹中の方がしっくりくるよな」
「当たり前だ」
「でも前田半兵衛、よくない？」
「よくない」
中々こっちを向いてくれないので半兵衛の顔を覗き込んだ。
すると半兵衛の頬は微かに赤くなっていた。
「…何だい」
「いや、別に」
にやにやしてながら見つめていたら怒られた。
だって無表情でいる方が難しい。
何照れてるの？
(ほんとは嬉しかったってことだよね！)
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