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□やさしさ
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夜中、ふと目が覚めた。
どうやら机に頭を乗っけたまま寝てしまっていたようだ。
枕変わりにしていたらしい腕が痺れている。
時計を見ると、夜中の三時だった。
ゆっくり頭を起こして立ち上がると、肩から何かが落ちた。
振り返ってそれを見ると、灰色のカーディガンだった。
慶次君がかけてくれたらしい。
視線をすぐ傍にあるソファに移すと、慶次君が寝息を立てていた。
何もかけないで、へそなんか出している。
それじゃ君が風邪引くだろうと思い、灰色のそれを彼にかけた。
自惚れかもしれないが、ずっと僕を見てたのかな、なんて思う。
寝顔は憎たらしいほど幸せそうで、つねってやろうかと思ったが止めておいた。
「…ありがとう」
ぽつりとお礼の言葉を言ってみたが、当の本人に伝わるはずもなく。
でも、それでいい。
だって、起きている彼には素直にお礼なんて言えないから。
いつもありがとう
(君は僕に優しすぎるよ)
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