克也×誠志郎 (Ver.誠志郎)
「やっと終わったー!」
ヤミブンのバイトである楠木誠志郎は、今日の分の仕事が終わり、定時になったのを期に帰ることにした。
今回は書類の山を相手に、五時間以上格闘した挙句、直しをクラってさらに二時間プラスされてしまったのだ。
もともと、デスクワークが苦手だったため、今日のような仕事は精神的に少々きつい。
とはいえ、これは生活のため、借金のため。
自分にそう言い聞かせながら、まだ仕事場から出ようとしない、課長と耕作、それにエリ子に、お先に失礼します、といって外へと出た。
ヤミブンの本拠地は屋上にあるため、一歩外に出ると、日差しを避けてくれる天井がない。
八月は特に日差しが強いため、走ってその場から離れようとする。
建物の中に入り、下へと続く階段にたどり着くと、深く息を吐いた。
すると。
「坊や。」
驚いて声のしたほうに顔を向けると、そこには整った顔を持ったヤミブンのメンバー、有田克也がいた。
今日は出張で、仕事場には顔を出さないといっていたのに…。
どうして?
「いや、二人きりだし、誠志郎って呼んでもいいんだよな?」
イヤミったらしい微笑。
いやな奴。
…僕が恥ずかしがるのをみて、どこが楽しいんだ!
「なんで来たんだよ…。」
誠志郎がそっぽ向くように言う。
克也とは、恋人として付き合っている。まだ、キスまでしかしてない、清い仲である。
克也は誠志郎の態度が気に入らなかったのか、荒々しく誠志郎の腕をつかむと、その唇に軽いキスをおとした。そのまま、上を向かせて誠志郎の顔をよく見ようとする。
「…恋人の顔を見に来ちゃいけないのか?」
「…またそういうこと言うッ///」
照れているためか、顔が熱い。
克也に触れられた唇から、どんどんその熱が伝染していく。
すると、克也は何かをボソっとつぶやいた。
誠志郎は聞こえなかったので、何々?と聞くが教えてくれない。
答えるかわりに、克也は誠志郎の身体を強く抱きしめる。
全身を強張らせながらも、誠志郎はその大きな背中に手をまわす。
「好きだ…。」
「…僕もだよ。」
……なぁ、克也。
今僕が、どれほど幸せか…。
お前にわかるか?
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『闇に歌えば』の克也と誠志郎です。
なんだか、ありきたりですが…。書いてみたかったんですッ!!
照れる誠志郎。
かわいい誠志郎。
心の中が完全パニックの誠志郎。
また書こうとおもうので、続き見てもいいよって方はご覧ください。
2009/8/20