葬儀

□不可能な未来2
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【不可能な未来2】





今日はどんよりとした空気、土砂降りの雨に気分を削がれる。

あれから、彼は小生と一緒に暮らすようになった。
仕事はきちんとこなしながら、帰って来ては腹に宿る赤子のために、彼は柄にもなく毛糸で服や靴下を編んだりしていた。



「名前、何にしよっか?」

「んー、何がいいかねぇ。」

「女の子だったらクレアで、男の子だったらカイル。」

「…いいんじゃないかな。」

「でしょー?アタシのセンスは妊婦になっても健在ね★」



彼の病名は、


偽妊娠。

いわゆる想像妊娠だ。

通常、想像妊娠である事を本人に告げれば、症状は治ると言う。
しかし、小生は告げられずにいた。
これほど望んでいた赤子が宿って、これほど喜んでいる彼に、告げられる筈が無かった。
棺に腰掛け、愛しげに腹を撫でる彼の優しい表情を眺めながら、隣りで本当に赤子を授かった夫婦のような雰囲気を味わう。

とても切なく、悲しく、叫びたくなる程のこの感情を、今まで小生は抱いた事がなかった。




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