少年陰陽師

□寛大なのも程々に
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○寛大なのも程々に




俺は今、目の前の光景に今日、何回目かのため息を零した



「はぁ〜」

「そんなにため息ばかりすると、幸せが逃げるぞ」

「ご忠告どうも」



これがため息をせずにいられるかよ

アンタの目の前には、この前まで命を取り合う死闘を殺りあった敵さんですよ

解ってんの?



「はぁ〜」

「13回目」

「・・・何が?」

「ため息をした回数」

「・・・わざわざ数えてたのかよ」(呆)



うん

絶対に解ってないよ、コイツ

ていうか、何で十二神将最強の闘将が普通に洗濯物を干して、掃除してんだよ!?

アンタ神の末席だろ?凶将だろ?

そして、何で敵である俺を家に招いて、当然のように座布団とお茶出してんだよ!?

ここは攻撃をして、撃退するのが普通じゃねえの?!

それともこれが普通なの?

今、全力でツッコミをしている俺が普通じゃないの?

いや、俺が正しい。・・・正しいよな!



「眉間に皺が増えたぞ」

「アンタのせいだよ」



言われたことの意味が解っていないのか、首を傾げてきょとんとしている

・・・くそ。不覚にも可愛いと思ってしまった



「・・・お前さぁ、少しは危機感を持とうぜ」



正直、敵だけど心配になってきた



「どうしてだ?」

「どうしてって、俺はお前の大切な主やあのガキを殺そうとしてるんだぞ」

「それなら大丈夫だ」

「はっ?」

「二人とも昨日から遠出に出てるから、戻ってくるのは明日になるから」

「・・・あのぉ、ご自分の心配は?」

「??別に心配じゃないけど?」



・・・どうしよう。本気で心配になってきた

コイツ絶対に泥棒が入ってきたら、座布団とお茶を出すよ(現に俺に出してるし)。

最終的に泥棒の身の上話まで聞いて、そいつのこと改心させるよ

・・・。うわぁ、何か考えただけで胃がキリキリしてきた



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