みじかいの
□ラズベリートーク
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「***さん、最近彼氏とはどうなんですか?」
「あーこの前別れたよ」
「…っ!」
『今年の夏も無事に乗りきれました、ご苦労さん会!』と名付けられた、サービス業である職場の食事会の席でのこと。
夏の暑さに耐えきった労働者たちが、幸せそうに喉を鳴らして酒を飲む。
そんな光景を酒の弱いわたしはマンゴージュースを片手に眺めていた。
「マンゴーうまい」
「え!いつ!」
「んー?2、3週間くらい前かな」
隣で同じようにノンアルコールを飲んでいた彼はわたしの後輩の****くんで 、わたしと同じように酒に弱い。
さっきまで上司に無理矢理飲まされていたようだが、今はその横にやかましい上司の姿はない。
そんな後輩が別れた彼のことを聞いてきた。
そろそろ吹っ切ろうとしてたところだったのになあ。
残りわずかだったマンゴージュースを飲み干し、おつまみで運ばれてきた漬け物を口に運ぶ。
つまみは好きなんだ、なのになぜ飲兵衛にならなかったんだわたしよ。
「へ、へぇー…じゃあ今は傷心中ですか?」
「だいぶ落ち着いたとこ」
「はや!」
もう少し落ち込むでしょうよ!って叫ぶ彼の目はなんだか血走っている。
いやいや怖いよ、なにテンション上がってるのこの子。
「だ、だって、慰めたりしたら少しは俺のこと…」
「意識するかも、って?」
「…へ?」
「ふふ、なーんてね。年上のおばさんをからかってはいかんよ」
「そんなに歳変わらないですよ!」
3つ年下の彼はそういう。
確かに二十歳過ぎたら多少の年齢差なんて気にならない。
でも自分が大1のときに彼はぴちぴちの高1だったと思ったら盛大なため息が出る。
「俺もう22なんですけど…」
「わたしなんかもう25だよ」
四捨五入したら30〜!なんて叫んだら、どうにかして追いつけないかなぁ…って可愛いことを呟いた彼。
無理だね、って可愛いげなく突っ込んじゃったけど、そんな彼に少し胸きゅんしたのはまだ秘密にしとく。
ラズベリートーク
(可愛いあなたをいじめちゃうわたしをどうか許して?)
気に入って頂けたらclap★
お題配布元:金星
13/09/06 千春