■ Book
□カメラと花言葉と(クラゴン)
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カメラは便利だ。
「ゴン、誕生日おめでとう。」
今日はゴンの誕生日だから、クラピカはゴンにプレゼントを渡してお祝いをした。
「え、これ誕生日プレゼント?覚えててくれたんだ!ありがとうクラピカ!」
ゴンは明るい笑顔を見せて喜んだ。
「開けてもいい?」
「好きにしろ。」
プレゼントの包みを開けると、そこにはカメラが入っていた。
「うわ!カメラだ!!」
「一眼レフだぞ。」
クラピカは得意そうに言った。
ゴンはわ〜とかへ〜とか感嘆の声を漏らしながらカメラをいじっている。
「すっごく嬉しいよこれ!ありがとう!」
「そう言ってもらえてなにより。」
「けど俺、カメラの使い方わかんないよ」
「そんなのシャッターを押すだけだぞ。フィルムの替え方は後で教えてやる。」
試しに一枚、そばにあった花を撮ってみる。
構図とか光の調節とき細かい技術は知らないけれど、綺麗だと思った物や風景をその場で残すことが出来るのはとてもおもしろい。
「あれ、そういえばこの花さっきまでは無かったような・・・」
「やっと気が付いたか。それは花菖蒲だ。ゴン、おまえの誕生花だよ。」
クラピカは笑いながら答え、そのアヤメによく似た花をつついた。
「花言葉は"嬉しい知らせ"
おまえに嬉しい知らせがたくさんあるといいな。」
ゴンはへ〜と声を漏らした。
「クラピカってロマンチストなんだね!」
「えっ?!・・・そうなのか?」
そこでゴンはふふふと笑った。
「俺ねークラピカの誕生花知ってるよー」
「私の?そういえば知らないな・・・私の誕生花は何なんだ?」
そのときゴンは、黙ってクラピカにカメラを向けた。
クラピカは一瞬戸惑ったがそのままゴンを見つめる。
ゴンはカメラを覗き込んだまま答えた。
「アネモネ。花言葉は
I love you
"君を愛する"」
カシャッ
そしてそこで
シャッターを切った。
クラピカは驚いて、しばらく黙っていた。
ゴンははにかみながらこちらを見ている。
「・・・・・・っゴンのほうが何倍もロマンチストではないか!!」
「えへへ、今のロマンチックだった?」
カメラをちらつかせながら言う。
「でも綺麗だったよ、今の顔。」
「馬鹿者!!」
「ねぇねぇ、今日の記念に2人で撮ろうよ」
やれやれ、と
渋々なふりをしてゴンに近づく。
「いくよ、せーのっ」
クラピカは、ゴンがシャッターを切るその瞬間に耳元で呟いた。
「私の花言葉は、おまえに捧げるよ。」
「えっ?!」
カシャッ
「ちょっとクラピカ!今のずるいよー!!」
「お互い様だ。」
カメラは便利だ。綺麗なものを残せるから。