Short Story
□傷−女心=童貞
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「三井…!」
「おう…!!」
彼が放ったボールは綺麗に弧を描いてゴールに収まった。彼の活躍で3点追加になった
「よーし、ナイス!!
元不良のミッチー!」
「その呼び方やめろ!」
「えー?じゃあ、差し歯のミッチー!」
「お前ぶっ殺すぞ!!」
「折ったのは私じゃなくてリョータじゃん」
「ちょ、なまえちゃん!
三井さんの刃を俺に向けさせないで!」
ドリブルをしながら宮城は恨めしそうに、こちらを見た。三井がバスケ部に入ってからは彼をからかうのがなまえの日課になっていた
元々、1個上で不良グループにもいた三井とは関わりもなくちゃんと会話をしたのは彼が正式にバスケ部に入ってからだ
「まさか、ミッチーがなかなかやる奴だとはな……」
「花道もそう思った?私もだよー
てっきりただのヒガミ野郎だとばかり…」
「お前、そろそろ喧嘩売ってるだろ」
「ぎゃー!!」
なまえと桜木が意外そうにこちらを見るので三井は汗をたっぷり拭いたタオルをなまえの頭にかぶせ意地の悪い笑みを浮かべた
「汚い!」
「あっはははは」
「ほらほら、なまえも三井先輩で遊んでないで。タオル配って」
「だってミッチーからかうと面白いんだもん」
三井のタオルをカゴに入れ、彩子から手渡された数枚のタオルで休憩でこちらにやって来た流川や桜木にタオルを手渡す
「なまえ、お前…俺のこと先輩って思ってねーだろ」
「えっ…え〜?」
「とぼけんな」
三井に指摘され、なまえはさほど上手くない口笛で誤魔化すが、やがて肩を竦めながら腕を組んだ
「だってぇ〜ミッチーに敬語使うとか……まだ嫁入り前の私の頬を叩いたやつを敬うなんて……」
「ぐっ…!」
「ねー?流川、あんたも顔だけしか取り柄がないのに傷つけられてさ…本当に災難だったよねー?」
「るせー」
「なまえさん!俺だって、殴られましたよ!」
「いや、花道とその他は大丈夫」
側にいた流川の肩をバシンと勢いよく叩きながら、暴力事件のときに三井に叩かれた頬をさすった
それを見た彼は気まずそうに顔を歪める。ぶっちゃけもう痛くはないが反応が面白いので切り札にしている
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