FF5,6【短編】
□怪奇!フィガロ城地下
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最近、フィガロ城の地下動力室に幽霊が出るという。
その真偽を確かめるために乗り込んだのは…。
フィガロ城の王であり、FFではジタンに次ぐ女たらし、エドガー・ロニ・フィガロ。
実際違うのだが、プレイヤーからは女たらしと勘違いされる自称トレジャーハンター、ロック・コール。
「なぜか今、猛烈に腹が立ったんだが、エドガー」
「奇遇だな。私もさ、ロック」
2人は地下動力室の通路をひたすら歩いていた。
「どうせあれさ、幽霊じゃなくて、魔物の生き残りだよ」
と、ロック。
「しかし、話によると、明らかに人間だったそうだぞ」
そう言うエドガーだが、どこか落ち着きが無く、そわそわしている。
それに気付かないロックではなかった。
「エドガー…、まさか、怖いのか?」
「なななな何を言う!私は国王だ!幽霊ごときで」
ガタン!
「ギャーッ!!!」
エドガーはダッシューズ装備時の5倍くらいは速く走り、どこかに行ってしまった。
ロックは音のした方をちらりと見る。
モップが倒れていた。
「ったく…」
彼は元通りにモップを壁に立てかけ、エドガーのあとを追った。
「エドガー、どこだー?」
「ここだ」
いきなり角から現れたエドガーに、今度はロックが飛び上がった。
「びっくりさせるなよ」
「悪い悪い。ところで、幽霊は片付けたのか?」
「いや、あれはモップが倒れた音だ」
「え…?……いや、ああ、わかっていたさ。まぁ、不覚にもびっくりしてしまったが…。ああ、モップだとはわかっていた!」
(…やれやれ)
その後、1時間くらいかけて捜索したが、結局幽霊は見付からなかった。
「どうやら、目撃者の見間違いという感じになりそうだぜ」
「そうだな……ん?」
エドガーはロックの背中を見た。
「おいおいロック、服が台無しだぜ?」
「え?」
「お前の服の背中に、泥の手形が付いてるぞ。コーリンゲンの子供にでもやられたのか?」
「いや、この服、ここに着いてから着替えたんだが……。それにその時は、汚れてなんかいなかったぞ。それに、そういうエドガーこそ…」
「ん?」
「ズボンに付いてる泥の手形は何なんだよ」
「……」
エドガーは自分の足を確認した。
沈黙が流れた。
その時、2人の耳元で、
くすくす……
『ぎ、ギャーッ!!!』
以来、フィガロ城の地下は国王公認の心霊スポットと化した……。
《完》
【後書き】
あれ?
ギャグを書くつもりが、ホラーになっていました。