FF5,6【短編】
□ブック
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俺の名はアパンダ。
次元の狭間に暮らす、本マニアさ。
俺の住んでる書庫の本を読破するだけで、あなたの知識はグーンと伸びる!
ぜひぜひ、1度はお越しください!
って、何宣伝してるんだ。
そうじゃなくて、今、俺の書庫のドアを開けて、ある人物がやってきていた。
その名はバッツ=クラウザー(20)。
エクスデスとの戦いが終わった今、こんな所に用は無いはずだが……。
「よ、よう……」
バッツは何だかそわそわしている。
怪しい。
多分、こんな状態で女の子に近付いたら逃げられるだろう。
「……た、頼みがあるんだけどさ……」
「何だ?」
「ここってさ、色々な本が置いてあるんだよな?」
「ああ。お堅い本から、大衆向けの雑誌までな」
「じゃ、じゃあ、もしかして、あるのか……?」
「何がだよ」
「ほら……『え』で始まる……」
ははーん。
そういう事か。
エクスデスを倒した勇者の1人といえども、やっぱり『男』なんだねぇ。
ちょっと、からかってやりますか。
「あるぞ」
「あ、あるのか!?」
「もちろんだ」
「か、か、貸してくれないかな?」
「いいぞ」
俺は、本棚をあさる。
そして抜き出した本を1冊、バッツの前に差し出す。
「これが欲しいんだろ?」
【SL大全】
「え……?」
「お前、なかなか渋い趣味だな。『SL』に興味があるなんて……」
「い、いや、違うんだよ……。たしかに『え』で始まるけどさぁ……」
「そうか……じゃあ、これか?」
俺はまた、別の本を取り出す。
【えんどう豆の全て】
「いや、まぁ、違うんだけどさ……。ほら…俺の頭をよーく見て…」
頭?
……心を読めって事?
いやまぁ、答えはわかってんだけど、こういうのって、やっぱりからかうのが定石っしょ。
で、また俺は本を出した。
「これだな?」
【円形脱毛症の予防】
「そう、それ……」
えっ!?
マジで?
ウソ?
バッツが求めていたのは『円形脱毛症の予防』……だったのですか!?
「昨日、レナに指摘されてわかったんだよ。後頭部にハゲがある……って」
「そ、そうか……」
「あ、ありがとな…。あと、誰にも言うなよ…。特に、女の子(カロフィステリとか)には…」
「あ、ああ……」
そしてバッツは帰った。
……そうか。
結局、イヤラシイ事を考えてたのは、俺だけでした〜…というお話。
《完》
【後書き】
アパンダ、カッコ悪いねぇ……。それにしても、円形脱毛症に悩むバッツ……。まぁ、原因は3人娘でしょう。