FF5,6【短編】

□守る
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「記憶を無くした………。俺は見捨てたりしない……必ず守ってやる!」

ナルシェの炭鉱で、ロックはティナに言った。








必ず守ってやる。








そして今、ナルシェを出てフィガロへ向かう途中。








「ロック弱い……」

「弱い言うなぁ!!!」

ロックは涙目で叫ぶ。


何が起きたのか。

それは、ほんの数分前。


(以下、回想シーン)


「きゃっ、何?」

「魔物だ!ティナ、下がってろ!」


2人の前に現れたのは、リフィーバニー×2とブラックウィンド×2。

いずれもザコ敵……の、はずだったのですが。








「ウボアー!!!」


【ロックは ほしに かえった!】


「えぇ!?ちょ、ロック、負けちゃったの!?」

焦るティナ。

ロックが倒れた以上、魔物の標的はティナである。


「シャギャーッ!」

とか鳴きながら、魔物はティナに襲いかかる。


「きゃああああ、ファイア!!!」



ぼしゅっ。



10秒後、魔物達はこんがりと焼け上がった。



(回想、終了)



「ううう、油断してたんだよ…」

ロックはナイフを地面に刺したり抜いたりしている。


「油断してても、HP30ちょいの魔物くらい倒せない?」

「はぐぅっ!!!」

ティナの言葉はロックの心にクリティカルヒットしたらしく、彼は再び戦闘不能になった。


「あーあ。もうフェニックスの尾、無いんだけど……。仕方ない。引きずっていくわよ」

と、ティナはロックの足を掴み、ズルズルと大地を引きずって進み始めた。


「イデデデデデデデ!!!復活したから!歩けるから!」


その声でティナはロックの足を離した。


ロックは服に付いた砂などを払い、立ち上がった。

「ひどいぜ、ティナ」








「ロック」

「んあ?」

「あんな無様な姿を見せてなお、『私を守る』って言うのかしら?」

ティナは半分馬鹿にしたような口調で言った。


「うぐっ……。これまたクリティカルだ……。でも……」

「え?」

ティナは目を丸くして、ロックの顔を見た。


ロックの顔には、先程までの情けない様子とは違うものが窺えた。


彼ははっきりと、こう言った。










「守る!!!」


「はいはい」

ティナはくるりと彼に背を向け、そのまま歩き出した。


「ああっ、待ってくれよ、ティナ!おーい!」



自分の後ろから近付いてくる、ロックの足音。

ティナは知らず知らずのうちに微笑んでいた。








『守る!!!』



頼りないけれど

その一言が

とても嬉しかった。


《完》

【後書き】
最初はギャグで通す気だったんですが…。
FF6はギャグというより、こういうほのぼの系が似合いそうですね。
そして、金融詩人・初のFF6小説でした。
 

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