儚き華 改正版

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『日番谷隊長、書類終わりました。』

「あぁ…すまないな、いつもいつも…。」

『気にしないでください。
俺、書類仕事得意ですし。』



バッターーーーン!!!!


勢いよく扉が開いた。

入ってきたのは自隊の副隊長・松本乱菊さんだ。



「あれぇ、來雅じゃない!!!」

と言うなり俺に抱きついた。


『う…、ぐ…』


息ができなくてもがく俺。

…男の本望であろうか。
松本副隊長の豊満な胸に抱かれて死ぬのは。
…いや、自分は女だ。



「やめろ松本、玖龍が窒息死する。」


やがて隊長からの助け船が出た。


「え?…あ!ごめんね。」

『ハァッ…ハァッ…。だっ、大丈夫…です…。』


「……オイ松本。どこに行ってやがった?」


あーあ、日番谷隊長から黒いオーラがでてる。


「やだなぁ。ちょっと休憩してただけじゃないですか…。」

「お前の言う“ちょっと”ってどのくらいの事を言うんだ?」

「二時間くらいじゃないですか…?」

「松本おおおおお!!!!!!!」

「そ、そんなに怒らないでくださいよう。身長縮みますよ?」

「減給だ!!」


「あっ、そういえば〜
六番隊に始解もできないのに上位席官がいるらしいですよ。」



副隊長は日番谷隊長の言葉をまったく聞かずに話を続ける。



「それがどうした。」


さっきよかイライラしている隊長。


「おかしいと思いませんー?書類仕事もやらないそうですし。」

「それはお前もだろ。」

「ぜーったいおかしいですよ!!!」


日番谷隊長の言ったことを軽くスルーする副隊長。



『…権力で上がったとか、じゃないですか?』

「えぇ!?そんなこと出来るの?」

『まぁ、できますよ。ある程度の貴族なら。
そうですね…下級貴族でもそれくらいはできるのではないでしょうか。』

「へぇ〜。來雅って貴族に詳しいのね。」


『あはは、そうですか?貴族の事ならある程度は知ってますよ。
ええーと…ちょっとした趣味というか、なんというか…』

やばいやばい。
冷や汗が止まらない。


「玖龍、お前んちは貴族なのか?」

『はい、まぁ一応…。』

「へー、すごいのね!」

『いえ、そうでもないですよ。』

といって目を伏せる。




思い出すのは零番隊と前隊長。

皆が家族同然だった

楽しかった、あの時は。




下を向いていると副隊長が覗きこむ。


「…どうかしたの來雅?ボーっとして。」




『えっ?あっ!すいません。ちょっと昔を思い出して…。』

「昔って言うほど生きてないだろ。」

「そうよ!まだ若いんだから!いいわよねえ!」

『なにいってるんですか、お二人の方がずっとお若いですよ?』

そう言ってニコリ。


「「(!…)」」


頬を赤く染める二人。


『?…どうしました?なんか顔が…』

「っ…あー大丈夫よ、なんでもないわ」

『そうですか?』

「あぁ…。」





──────…トントン


「六番隊八席の富永優里奈です♪日番谷隊長はいらっしゃいますかぁ?」

「…あぁ、入れ。」

「失礼します。書類です、判子お願いしまぁす!」




その光景を黙って見ていた


これから起こる事も知らずに…








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