白兎と冷酷人間

□理不尽な展開
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シトシト雨が降る外。私としては嬉しい天気だけどこの季節特有のじめったさにに嫌になる。


『もうすぐしたら奴がくる…誰だ地球の軸をズラして四季なんて作ったの…だから地球なんて嫌なんだアデッ!?』

「ただでさえジメジメしてるのに、やめてくれない?」


ニッコリで笑顔で言うシャルくんに即座に謝る。だって前に梅雨は嫌いだって言ってたから、今はきっと機嫌はいい方でない。
そう今は梅雨。そして梅雨の後に来るのは…夏!


『なんで夏なんて来るんですか。ただでさえ温暖化で暑いっていうのに更に暑くなって何がしたいんですか!』

「俺に言うな!」

『だってぇ…フィンクスさん知ってますか?夏って女性の敵なんですよ。みんな必死に肌が焼けないために頑張って頑張って…。ですが!私はそんなクリームに頼っても駄目なんです!!日に当たったら死ぬっていうのに、夏の日差しはぁあああああ!!』

「荒んでるね。」

「あぁ、うるさくて適わない。」

「これで瓦礫が被害遭うの何回だ。」


後ろで何か言ってる3人なんて無視して瓦礫を殴りつければ、呆気なく崩れてしまった。もう宇宙が恋しいよ。あの日もない怯えなくて済む生活が恋しいよ。


『で、私やっと決まりました!』

「何がだよ。」

「住む場所じゃない?この前から探してたし。」

「何で今更…。」

『だって夏って日差しも恐ろしいですけど、暑さも恐ろしいんですよ。ここ、シャルくんとクロロさんとキッチンらしき所しか電気通ってないじゃないですか。』

「慣れろ。」

『無茶言いますね、クロロさん。とにかく!私は一人暮らしってものはした事ないですけど、ここに居るよりは全く楽な気がします!』

「それってどういう意味?」

『いや、3人の事じゃないですよ。』


スッとアンテナを握りしめるシャルくんに、クロロさんの手にいきなり現れる本に、フィンクスさんが腕を捲るのを見て震えながら否定する。だから嫌なんだ。なんでこんな胃がキリキリする毎日送らなきゃいけない。


『まあ前にもらったクロロさんからのお金がまだ全然残ってるんで、それでマンションを買います。…あとは、まあパソコンや携帯を使って仕事を「ルカ。」…何ですかクロロさん。』

「お前、何か勘違いをしてないか?」

『はい…?』

「誰も勝手にしていいとは言っていない。最優先は蜘蛛だ。」

『わかってますよ。ちゃんとこちらを優先します。』


すると「そうか」と言ってまた本に視線を戻すクロロさん。でもシャルくんとフィンクスさんはどこか微妙な表情だ。


「あのさ…フェイタンは何て言ってた?」

『それなんですけど…今朝話したらいきなり出て行っちゃって…。何か不機嫌な事があったんだと思います。』

「「「(お前の事だよ。)」」」


何であんな不機嫌だったんだろ。何か悲しいな…。やっとちゃんとした会話が出来るようになってきたと思ったら、今朝のようになっちゃったし…。
3人の心情なんか知るわけない私は落ち込んでいればフェイタンが帰ってきた。ドキリと跳ねる心臓を抑えるので私は必死だ。


「よお、どこ行ってたんだ?」

「買い物ね。新しいいいの見つけたよ。」


買い物=拷問器具。だってフェイタンがちゃんとお金を出して買うものはそれしかないし。手に持っている本もきっとその類のものだ。それにどこか機嫌が良さそうだ。
ホッとしてると、ウボォーさんとノブナガさんも帰ってきて手には沢山の袋。えっ、あの2人が…買い物だと…?


『あの…失礼ですけど…お金を払って買われたんですか…?』

「お?あぁ!偶然会ったフェイタンが買ってくれたんだぜ!」


嬉しそうに言うウボォーさんに、私と室内に居た3人はバッとフェイタンを見る。きっと思う事は一緒だ。彼が強奪ではなく、そして誰かに物を買ってあげるなんて芸等が出来たのか、と。
機嫌がいいとしても奇妙過ぎやしないか?


「ルカ、お前に渡す物があるね。」

『ぇえ?わ、私!?』


投げられたものは…カード?まあ何であれ、あのフェイタンがくれた物なんて大事にする……あれ?


『フェイタン…。』

「何ね。」

『これ…見間違いでなければ…』


震える手で聞く私に、周りのみんなはウボォーさん達が買ってきた食べ物やら飲み物を口にしている。うん、どれもこの間パクノダさん達と見ていた雑誌に乗っていた、ブランドのロゴが入っているものだ。
するとフェイタンはニタリと笑いながら私を見てきた。


「なかなか色々買えたね。ありがとな。」


ブワリと涙が押し寄せてきた私に周りは食べているものと私を交互に見ていた。


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